お土産交換会
盆の最終日、ここを越えて一週間もすればまた学校が始まる。
その前にと福羽は自分と鹿島さんを呼び出した。
「いやー二人とも旅行は満喫したかね?」
「半分墓参りだけどな、福羽は大阪だっけ?鹿島さんは?」
「私は白馬〜毎年恒例なんだ〜」
「白馬……スキー場?」
「うん、シーズン中はね。でも今の夏は避暑地だよ」
画像が送られてきてはいたが、やっぱりお嬢様だよなと感じる。
福羽もそう思ってるだろう。
「詩華ちゃんお嬢様みたいで風が似合うだろうな〜」
何を言ってるんだろうコイツは。
「うふふ、でも良かったの?誰も居ないからってお盆最後にお邪魔して?」
鹿島さんは辺りを見渡す。
集まった場所は福羽の部屋、呼び出された場所は福羽家であった。
「良いの良いの、親父達も構わないよって」
「どこか行ったの?」
「なんかシーズンオフまでに魚釣りたいんだって」
「福羽君のご両親釣りされるんだ」
確かに玄関に大きな鯛の魚拓があった、よほど好きなんだろう。
「それにお土産渡すだけ出し混んだ店もちょっとな」
「まあ、それはあるかな」
福羽に同意だ。短時間ならば騒がしい場所よりは良いと感じられる。
「んじゃさっそく俺から……大阪お笑い劇場の人気キャラクターおかきだ!どうだ!」
「どうだと言われても……ありがとう」
「福羽君お笑い好きなの?」
「いやぁあんまり知らないけど空気が凄かったのよ、大阪って大阪って言う国みたいなもんだよほんと」
関西の空気に触れてどこか変になってないかと心配してしまうが、福羽らしいと言えば福羽らしい。
「じゃあ、自分のを……温泉饅頭」
正直王道である饅頭だ、漉し餡一口サイズのやつだ。
自分は捻りあるやつよりはスタンダードな物の方が好きなのもある。
「ふふ、柊君らしいね。可愛いよね」
「ストレートに温泉行きましたって感じだなぁ、でもコレ系美味いんだよなぁ」
特に悪そうな評価されずにホッとする。
「それじゃあ私は……白馬のバウムクーヘン〜」
ドンと出されたバウムクーヘンの存在感に福羽と驚く。
「えぇ、何コレ綺麗だな」
「ああ、鹿島さんコレは有名なの?」
「うん、白馬じゃ人気のやつで米粉使ってるから少しもちもちしてるよ」
三者三様のお土産を渡し合い軽く談笑が始まる。
その中で鹿島さんが言い出す。
「そうだ、二人とも次の日曜日時間ある?」
「日曜日……俺は一日大丈夫」
「自分もバイトは無いか、大丈夫」
「良かったら私達のバンド観にこない?」
福羽と共に「へ?」と間抜けた声が出る。
「ライブじゃないんだけど練習でスタジオ取ってるの、メンバーに二人の事話したら連れて来なよって言われてね」
そんな練習に冷やかしみたいに行って良いのだろうか。
「良いの!?聴いてみたい観てみたい!」
福羽はもう乗り気でいる。
「柊君はどう?練習であまり相手は出来ないかもだけど……」
「鹿島さんが良ければ行くよ」
気を遣わすのも悪いし、興味はある。
「やった!それじゃあメンバーに連絡しておくね!次の日曜日の十五時から三時間予定だから、場所はまたメッセージ送るね〜」
こうしてサラッと決まった予定が、夏休み最後のイベントとなりそうでワクワクしている自分がいた。




