表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
74/89

母方の墓参り

 車の前後に貼られた初心者マーク、ぐるぐる車周りをチェックし運転席で座席調整をする姉。

 この春免許を取ったのは知っていた、だが運転をしている姿は一度も見ていない。本当に大丈夫なのか……

「よーし行くわよー!」

「姉ちゃん、意気込まないで落ち着いて……」

「まあ、経験だ経験」

「茜、安全運転第一よ」

 ブルルとエンジンが掛かりその時が来てしまった。

「じゃ出発〜!」

 ギィィィ

「あら?動きにくいわ」

「茜!茜!サイドブレーキ掛かってる!」

「やだ!ゴメンゴメン!」

 本当に、本当に、大丈夫なんだろうか……

 初手から大きな不安を落とした姉は改めて車を発進させた。

 父は少し不安にしつつ黙って見守るが、手は手すりを掴んでいる。皆が見守る中、高速に合流ししばらく車の流れに乗る。

 なんとか乗ってしまえばスムーズに進む、お盆と言う事もあり車自体は多いが運転は安定している。

「上手いじゃない茜」

「まあこれぐらいはね?信号ある下道はわかんないけど」

「姉ちゃん怖い事言わないでよ」

「さすがに高速だけにしようか?墓参り終わったらまた高速乗るし」

「そうね、今日私は高速係になりまーす」


 十分後……

「ずっと真っ直ぐ飽きるわね」

 早くも飽き出した姉、自分は運転出来ないが似た風景続くのは飽きるだろう

「まあ後少しだけ頑張りなさい、次のサービスエリアで交代しよう」

 父は苦笑しながら看板のサービスエリアのロゴを指す。ここから数十分くらいで着くだろう。

 たわいもない話をしていればすぐに到着する、バック駐車は教習以来だとまた怖い事言いながら慎重にパーキングエリアへ入れていく。

 自分は先に降りて父と誘導する。

 ブン!ブン!小刻みに発進するのをやめてほしい、本当に怖い。

 時間を掛けたが無事に駐車完了。

「優斗、どうだった私の運転?」

「怖かった」

「ほら、二人共〜トイレ休憩したらお墓までノンストップよ〜」

 母が手招きしてトイレへ行こうと促している。

 小休憩の後、運転席には母が座る。

「お母さんも久しぶりじゃないの?」

「そうね……でも茜が産まれる前までは速い車乗ってたからね〜」

「母さんはめちゃくちゃ運転上手いんだぞ」

 初耳だ、何かあるなら父の運転だったし店もあるから遠出自体珍しい。

「じゃあ出発するわよ〜」

 上機嫌で発進させた母、スムーズに操り揺れも起こさない運転で上手いと感じる。

「な?上手いだろ?」

 横に座る父から言われる、それこそ何年も運転しているような安定感がある。

「母さん昔はよく乗っていたの?」

「ああ、優斗が来る前茜が産まれるもっと前だがな。結婚前は母さん車を自分で改造してたんだ」

「え!?それって暴走族……」

「違うわよ優斗!カスタムって言ってよお父さん!」

「お母さん車イジリしてたんだ……知らなかったわ」

 姉も自分も母の意外な過去を知り唖然とする。

「私も母さんに乗せられて山道ドライブに連れ出されたなぁ……」

「昔の話よ〜」

 あまり聞けてなかった両親の過去に触れて、色々あったんだなと悟る。


 そこからは母のスムーズなドライブで高速を抜けて、母方の家系が眠る霊園へとすぐだった。

 程良く自然に囲まれた広い場所で、墓参りに訪れている人々がチラホラ見える。

「こっちよ」

 自分と父で墓掃除の道具を持ち、母の先導で進んで行く。

「久しぶりに来たけど整備されてるわね」

姉は墓の前で手を合わせ周りを確認していく。

 自身がここに来たのはいつぶりだろう、そして小さい頃には分からなかった墓石名の意味が今ははっきり分かる。


「川名家乃墓」

 墓石の名字は母の旧姓である川名と彫られている。

 そう、これは自分のルーツではない墓である事の証明である。

 (小学生の低学年以来か……気付かないよなそりゃ)

 まだ自身が何も知らず、墓参りの行為も深くは理解出来てない頃だ。父も母も近年墓参りだけは自分達だけで行っていた意味がわかりだす。

「今日は私の、お母さん側の先祖が眠るお墓。茜は少し覚えてるかしら?」

「お祖父ちゃんお祖母ちゃんでしょ?正直あんまりなのよね」

「そうね、茜が三歳迎える前だったから無理は無いわ」

 姉がその年齢なら自分は会っても無いのか。

 それでも手を合わせ冥福を祈る。

「優斗、雑草抜いてってくれるか」

 父に言われ墓周りの草を抜き、土を慣らす。

 墓石を拭いたり華を添えて線香を炊く。

 母は深く祈っている、当然だろう自身の両親や祖父母が居るのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ