ほの字
「それじゃあまたね柊君!」
「うん、鹿島さん達もお気を付けて!ロックにもよろしく!」
三人を見送って姿が消え、店に入ろうとしたら目の前に姉が立っている。
「優斗〜あんた可愛い子と絡んでるじゃないの〜あの子とプールに行ったのね?私に感謝しなさいよ」
「なんだよ……そもそも友達なだけだし、姉ちゃんチケットは貰いもんだって言ってたじゃん」
ウザ絡みモードの姉を置いて店に戻る、すると今度は母が満面の笑みで迎えてくる。
「優斗にあんな親しい女の子が居たなんてね〜しかも美人さんだし!」
こっちもかと頭を抱えた。
母と姉の追求は家でも受けるだろうと諦め、真希さんの名刺を父に渡しに行く。
「お、ちゃんとお見送りしたか?」
「うん、心遣い感謝しますって。あと名刺も渡してくれってハイ」
「ん、良かった良かった。名刺?丁寧な方なんだな……優斗」
名刺をジッと見つめ父は自分を呼ぶ。
「うん?」
「お友達のお父さん、他に何か言ってたか?」
「他に?……んー昔の知り合いにそっくりとか言われたくらいかな」
「……そうか、うんありがとう。片付け終わってるし先に帰ってていいからな」
「うん?わかったよ」
父が何か考え込む様子を見せたが、すぐに戻り片付けを始めている。
(なんか気になったのかな?)
一瞬の変化だったがすぐ元に戻ったので深くは考えずに置いた。
「蓮さん、ありがとうございます上がりますね」
「おお優斗君、影から見てたよ〜めっちゃ可愛いお嬢さんじゃないの」
「だからそんなんじゃないですって」
「本当に〜?密かにほの字じゃないの〜?」
母姉ときて蓮までも面倒な絡み方をしてくる。
どうしようかと考えたら浮かぶ顔があった。
「どっちかっていうと福羽が惹かれてますよ」
自分が回避したい為に福羽を犠牲にする。
「えっ!光司君が?彼は軽そうに見えて一途な奴だからなー」
イベントバイトで居た数日で福羽はつむぎ亭の可愛いがられ担当になっている。
店に飾られてる写真にもスタッフに紛れて居るぐらいだ、今後も福羽を引き合いにだせば収まるだろう。
我ながら名案だと思いながら、家路に着いたのであった




