評価
鹿島家族から離れて一時間半は経っただろうか、自分の勤務時間ももう終わりを迎える。そんな折フロアから声が掛かる。
「優斗ー!鹿島さん帰られるよ!おいでー!」
姉の声だ、あとは締め作業だけなのだが毎回タイミングが悪い。
「ほい!交代!」
パッと現れたのは蓮だった。
「優斗君のお得意様をお見送りしてあげて、彼女?」
「違いますよ!」
笑いながら蓮は背中を叩いて「いけいけ」と追い出される。
「優斗、そのまま上がって良いからな」
「え?良いの父さん?」
「ああ、私は離れられないから父さんの分までお見送りしてくれ」
「わかった」
店の玄関に向かうと鹿島家族が会計を済ませたところだった。
「あ、柊君!今日もすっごく美味しかったよ!」
「ありがとうね来てくれて、何だかウチの家族達の方が騒がしくて……」
そう言いながらドアを開けてあげる。
そして外に出て少し話が弾む
「柊君お姉さん居たんだね!しかもカッコいいじゃない!」
「えっ?カッコいい……?まあそのまま伝えとくね」
「柊君、ご馳走様」
「真希さん、ありがとうございます」
「しかし本当に美味しいし接客スキルが店全体で高いね〜僕感動したよ」
褒め過ぎじゃないかとも思えたが、素直に受け止めておく。
「僕はまだ洗い場しか出来ないですから両親と姉、スタッフの力です」
「ふふっ!そう言えるのが凄い事なんだよ、詩華と同い年で礼儀が叩きこまれている」
「ちょっとお父さん?私が礼儀知らずみたいじゃない!」
「あはは、詩華は自由が勝っちゃうからね」
「お母さんまで〜」
皆で笑いあっていると真希さんがポツリと言う。
「優斗君のお父さんにも御礼を言いたかったけど作業中かな?伝えといてくれるかな、心遣い感謝しますと」
「ハイ!父に伝えますので!」
その時、真希さんは少し驚いた表情を見せた。
「……?どうかされました?」
「お父さん?」
「あ、いや優斗君は昔の知り合いにそっくりな顔するなって。あ、そうだお父さんに名刺渡しといてくれるかな?また来るし、こっそり僕だけでも……」
「あら、あなたずるいわよ?」
「私達置いて来たら許さないわよ」
妻と娘に詰められる真希さんに苦笑しつつ名刺を受け取る。




