さあ、行きましょう
午前八時…鳴り響くアラームを止めて着替え始める。
今日は福羽と鹿島さんの三人、鹿島さんの家で課題会の日だ。
集合は午後からだが、前日バイト終わりから変に寝付けなかった。アラームなんかセットして余裕ある起き方までしてしまう。
緊張してしまう、女子のお家にお邪魔すると言うのがこんなに緊張する事なのか。
ハッキリとした理由はわからないが緊張感が増していく、勉強するだけなのに。
ちょっと情けなさを感じながらリビングに行くと両親が揃っていた。
「あら早いわね?おはよう」
「優斗おはよう、どうした?」
両親共に早い時間に起きて来た自分に目を丸くしている。今日は店の定休日だから二人が居る事はわかっていたし、まだ朝だから何の不思議も無い。
「ん、おはよう…今日自分お昼から出るから…」
「どっか行くの?」
母の当たり前な疑問に何故か心臓が跳ねる、特に悪い事じゃないむしろ良い事をする為に出るのだが…
「あ、うん…福羽とクラスメイトの家に勉強会で…」
「へー優斗偉いじゃないか、ちゃんと勉強するんだよ」
父は純粋に偉いなと思っているようだが、母は何か考えるような素振りから確認をしてきた。
「もしかして女の子の家に行くのって今日かしら?」
やはり昨日の今日で姉から伝わった情報を繋げた、やましい事は無いのだが改めて言われると恥ずかしく感じる。
「うん、まあ、そうだよ、鹿島さんって子の家で」
変な喋り方になるが嘘は付けないので正直に言っておく。
「あら〜やっぱりそうなのね〜可愛いの鹿島さん?」
「いやいや勉強会するだけだから、特にそんなそれは関係ないでしょ」
「優斗が友達の家に、それも女の子なんてね〜失礼無いようにしなさいね」
なんだか少しテンション上がる母をやり過ごして、様子を見て笑ってる父。
姉が居たらもっと騒がしかっただろう、おそらくまだ寝てるはずなので助かった。
朝の挨拶等を済ませて自室で持ち物チェックをしておく。
(そういえば福羽の奴は何持って行くんだろ)
お呼ばれと言う事で手土産に人気店のクッキーを用意したのだが、福羽は何を用意したのか聞いていない。被りでもしたらどうしようかと思ってしまう。
しかし今更確認するも当日である、どうしようもならない。クッキーが被らない事だけ祈っておこう。
早めに昼食を済ませて福羽との待ち合わせ場所に向かう、待ち合わせの場所に指定されたのは以前に両親へのプレゼントを買ったりプールに行く際待ち合わせた欧風雑貨店だ。
自分と福羽、そして鹿島さんの家から中間地にあり駅前で三人集まる時に便利が良い。
「三十分前に着いてしまったが…」
どうやら今回は一番乗りみたいだ、福羽も鹿島さんも姿は無い。あの二人だから遅くもならないだろうが待ち時間をボーッとしてるのも勿体無い。
少し覗いてみるかと欧風雑貨店に入ってみた。クーラーが効いてて涼しい。
以前に買った装飾施された大きな写真入れは現在つむぎ亭のフロア壁に飾られている。中には柊家とスタッフと福羽が入った集合写真が引き伸ばされ入ってる。
結構お客さんからも良いねと好評頂頂いている。
あれは一点物だったのか在庫切れなのか、自分達が購入し無くなった場所には別の小物が陳列されていた。
「いらっしゃいませ、あなた前にここのフレーム買ってくれた子よね?」
店員に話しかけられる、しかも覚えてくれているとは思ってなかったので挙動不審になってしまう。
「驚かせてごめんなさいね、以前買われる時にお友達と選ぶ姿が印象的だったもので」
「あ、いえ良い物買わせて貰いました。両親へのプレゼントでしたが喜んでくれて」
「あら良かった、私ここのオーナーやってるのよ。是非またご贔屓に、ありがとうねごゆっくりどうぞ」
凄く明るくフレンドリーなオーナーだ、結構若そうな感じでオーナーと呼ぶには躊躇うくらいだ。
スマホが震える、どうやら二人が着いたようだ。
何かのプレゼント選びにまた利用させて貰おう、先程のオーナーに会釈をして店を出たら待ち合わせの二人と目が合った。
「おー柊もう来てたのか」
「柊君またこのお店見てたの?」
「うん、待ち時間に少しね」
少し三人で雑談していたが本日の目的である課題会に出発となる。
先陣を切るのは課題会の場所を提供してくれる鹿島さんだ。
歩きながら鹿島さんから早速の確認が入る。
「二人共どこまで進めれた〜?」
自分と福羽は目を逸らしながら「自分の出来うる範囲を精一杯やりました」とだけ答えた。
「ふふっじゃあ足りないところは頑張りましょう〜」




