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紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


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洋食屋の子

 プールに行った翌日、福羽から連絡がある。

「早速だが課題会の予定立てようぜ、鹿島ちゃんのライブの後が良いと思うんだがどうだ?」

「どう?ってライブいつか聞いたっけ?」

「あ、それ聞いてからだな!また連絡する!」

 慌ただしいやつだ、しかし課題も取り掛からないと追いつかない。バイトもあるし両立出来るところを示さないと後々困る。

 今日はバイトがあるから日中はペンを動かそう、と言うか全身が痛い。

 軽い筋肉痛と日焼けだろう、ピリピリする。

 (ぎこちない動きになる…大人しくしとこう)

 バイトまで外に出ないと決め、課題に取り掛かる。

 勉強自体得意不得意でも無いが、やる気の問題でどうしても不得意寄りになってしまう。

 鹿島さんは学年三位だったと聞いて驚いたが、そんな人が課題を見てくれる機会があるなんて驚きだ。

「バンドやって習い事やってる上でか…改めて凄いよな」

 あまりの違いに声に出してしまう。

 同じになれなくとも、せめて前だけは向こうと奮い立たせ課題を進めていった。

 一時間程集中しただろうか、スマホが鳴って集中が切れる。

 メッセージの受信だが福羽からだ。

 (何々…ふむ、了解っと)

 どうやら鹿島さんと連絡を取りスケジュールが定まってきたようだ。

 こちらは家の用事等無いか確認してからだが、比較的自分は合わせやすいだろう。

 後程知らせる旨を返信して時計を見る。なんだかんだ昼前でお腹も空いてる。

 夏休み特有の遅く起きるパターンだったので朝も食べてなかった。両親は店だし姉は不明、とすれば自分で作るか買うか。

「作るか…やってみるかな」

 キッチンに向かい材料を確認、ウインナーに卵、ネギにご飯がある。とならばチャーハンにしてみよう。

 (あんまりまともに作った事はないけど)

 よく「家がお店だと料理出来る」みたいなフィルターを掛けられたりするが断じて無い。

 むしろ父からは厨房から遠ざけられていたし、玉ねぎを刻んだ店のイベントバイトの時がほぼ初体験に等しい。やはり火や刃物、機械と言った危険性を心配されていたのだろう。

 では何故作ろうと言う気になったのか?

 洗い場とは言えキッチンでの扱いで採用となった為か、父や蓮さんの調理風景が近くなったからかも知れない。自分でも驚きの意識変化だなと笑う。

 いつもは冷食や買いに行く日々だったが、上手くいくのか少しワクワクしつつ食材を出していった。


 お家の昼ごはんチャーハンを作る、それだけなのだがこだわる人はこだわる。

 卵の加減とか隠し味だとか具材の大きさだとか。

 確かに突き詰め出せば永遠に研究できるかもしれない、ただし基本的技術も必要である。

「おかしいな…チャーハンが卵かけご飯のウィンナー添えになった」

 自分のイメージではそれなりに焼き色が全体に付いた中華料理屋まではいかなくとも、これまで見てきたチャーハンになるはずだったのにどうして。

 色々原因は考えられるが原因も考えだせば永遠に出てくる、結論は技量が無かったに尽きる。

 恐る恐る一口食べてみる。

「……うっすい」

 素材の味を活かした、否素材の味だけがゴロゴロしてるだけだ。

 塩胡椒忘れてるなと気付くのは早く、上掛けしてもう一口。

 まあ自分が食べるだけなのでヨシとしよう。

 世の中の料理作ってくれる人達は凄いんだなと感じる昼だった。

 自作のお昼を食し片付けてバイトの時間まで課題に向かう…が一度切れた集中力が戻らない。

 なんとなくリビングで付けたテレビを眺める、自分世代は夏休みだが社会は平日の昼過ぎ。特に見入る番組も無いかと思いテレビを消そうとした時だった。

「今話題のお店に来てます!」と芸能人が話題のお店紹介している、よくあるコーナーが目に留まる。

 つむぎ亭も地域では有名店だし遠方からの常連さんが居る、この間の十周年イベントでは身を持ってその人気っぷりを知った。だが、テレビ取材はおろかSNSですらやっていない。

「やっぱりこういうのって少し有名なぐらいじゃ来ないのかな」

 一人呟いた時背後から声がした。

「違うのよ!」

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