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紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


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プールに行こう

 夜自室で福羽とメッセージをやりとりしていた

「ついに明後日に迫った訳だがバイトはどうよ柊?」

「どうも何も知らなかった事だらけさ」

 たわいもない状況報告だが福羽は気になる事があるようで

「鹿島ちゃんさ…水着どんなの着るんだろ」

 自分に聞かれても…本人に聞いたら良いじゃないかと首を傾げる

「聞いたら良いじゃないか」

「馬鹿、聞ける訳ないだろう!お前は何言ってんだ!」

 怒られた、何を言ってるんだコイツは?

 気になるなら聞けば良い、と言うか福羽らしくないモジモジした態度だ

「お前は…いや、柊はまだ疎そうだから仕方ないか」

 何かを勝手に納得されたが…

「とりあえず当日遅刻と忘れ物すんなよ!」

「わかってるよ、福羽は課題進んだのか?」

「とりあえずはな、明日詰めれば大丈夫だ」

 プール行きはなんとかなりそうで安心である

 自分も課題を少しでも進めないと安心は出来ない、バイトで出来ないのは本末転倒なのだ

 眠たい目をこすりながら、更に眠気を誘う課題達と向き合った


 プール前日、バイト四度目

 今日も洗い場だが昨日姉から教わった見て予測して優先順位を付ける事を念頭に余分な力を抜いてみた

 すると、キッチンから蓮さんが声が掛かる

「リラックスしてきたね!頑張れよ優斗君!」

 要所要所で声を掛けてくれる良いお兄さんだ

 いつかキッチンの中も教えてくれるんだろうか

「夜営業始めるよ〜」

 母の声が聞こえてきた

 さあ、頑張って明日のプールを迷いなく行こう

 グッと力を込めた

 まずは見て予測する事、客入りはいつも通りとすれば先にキッチンから任された鍋を洗って場所を確保しよう

 時折前を向いてフロアの洗い物一次置きボックスをチェック

 どうやら一度回収してグラスと皿洗いを始め出そうか

 これまでの体感なら、まもなく洗い場がピークに呑まれていく

 そうならないよう情報を得て判断していくのだ

 昨日姉に教わった事が活きてくる

 正解だとは言い切れないが初日に比べれば身体も精神も楽に動けている

 (なんだかんだ先輩なんだな)

 姉を少し見直した夜だった


 天気は快晴でアスファルトの熱さが凄まじいプール当日、見事なまでのプール日和だろう。

「忘れ物無い?」

 母は心配そうに聞いてくるが高校生だ、さすがに小学生みたいな穴は無いと思いたい。

「大丈夫だよ、昨日バイト代も貰えたし」

 母からの気持ちで少し多く貰えたのがありがたい。集合時間が迫っているので荷物を持って玄関に向かう。

「優斗今日は夜ご飯要るの?」

「うん?それまでに帰るよ?」

 母が何か言いたそうだが…

「まあ良いわ、気を付けていくのよ?女の子も居るんだし危ない事しちゃダメよ」

「しないよ…行ってきます」

 猛暑の中だが目的地はプールだ、ワクワクと共に出発した。


「もうちょっと遊んでも良い歳なんだけどねぇ、まあこれからか…」

 走り行く優斗を見つめながら母朋子は、優斗への想いを呟いていた。


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