母の教え友の電話姉の覗き見
「洗い場を回すって言うわね」
悩んでる様を見て母が教えてくれた
「洗い場って実は店の心臓部だったりするのよ」
「心臓部?」
「そうよ、常に脈打たないと全てのポジションに血が渡らないのよ」
「まあ、確かに…」
調理器具もお皿もグラスも全て一箇所に集まってはまた元に戻る
「ただパズルのような組み合わせを考えないと、ハマらないピースに時間を取られてタイムオーバーになっちゃうのよね〜」
「むむ…確かに…」
考えてみたら洗える手数は上限があり優先順位を考えないといけない
父はもしかしたらそれに慣れるようにと言ったのだろうか?蓮さんのズル賢いは優先順位を指してるんだろうか?
「ほら、今日は定休日なんだから課題進めなさい、お金を得ても課題やってなかったらプール行かさないわよ」
母から現実に戻されたので、大人しく課題の山に手を付ける
(福羽はどこまで進んだかな…あと四日後だけど)
今回の目標はプールに行ける体制を整えバイトで資金を得る事だ
とにかくやっていくしかない
課題もまた頭を使いながら手を動かす
洗い場と似てるなと微笑んだ自分が少しおかしくなったのかと思ってしまった
しばらく気合いを入れて課題を進めてるとスマホから着信音が響く
通話してくるのは十中八九福羽だ
「もしもしどうした福羽」
流れるように確認もせず通話を繋げた
いつもの声…では無い女の子の笑い声が聞こえてくる
「ん!?え?鹿島さん!?」
「そうですよ〜鹿島ですよ〜福羽君と間違えたの?」
通話越しに大笑いしてる様子が浮かび上がる声だ
と、言うか何故いきなり通話を?
「どうしたのさ鹿島さんが通話してくるなんて」
「実は福羽君も言ってたし気になったんだけど…課題は大丈夫?」
痛いとこを突かれて黙ってしまう
「あーやっぱり柊君も苦戦してるんだね」
恥ずかしながら正解だ、だがそれと通話になんの関係が?
「プールまでは進めるだけ進めて、どうしようもない部分は置いといて三人で勉強会しない?」
「ふぇ!?」
「福羽君に聞いたんだ、柊君プールの為にバイト頑張って課題もあってでしょ?」
(福羽、おまえいつのまに情報横流ししてるんだ)
「あ、いや、まあ…ハイ、そうです」
「だからできる範囲を埋めて穴のあるとこを集中してやれば理解も出来るし時間かからないよ?」
確かに効率良く遊んで課題進めれる手だが…
「鹿島さんが教えて下さるんですか?」
「なんで敬語に、これでも学年三位だよ〜」
(鹿島さん習い事もやってるんじゃ?同じ歳か?)
信じられないが、ありがたい申し出を断る理由が無かった
「鹿島さんが良ければ是非ともお願いします!!」
自分はバイトにも気を取られてて課題が終わらないと嘆く姿しかイメージ出来なかったのだ
女神様だとスマホ越しに頭を下げた
「ふふふ、まずはプールまで頑張ってそこから三人で詰めていきましょうね!」
「ハイ!頑張ります!」
「また日程合わせは福羽君交えて話そうね〜」
ふわふわとした喋り方でも頭良いんだな
少し失礼な事を考えて通話を終えた
俄然やる気が出てきた、単純かもだが自分はこんな性格だったのだろうか?
ともあれ直近で意識を割くべきはバイト、課題、プール、勉強会の順だ
全て繋がってるが一つ一つを切り離して集中すれば良い
気が楽になってきた
(福羽にも連絡してるのかな…いや、福羽から泣きついた可能性もある)
ともあれ、強い味方に感謝をして、今出来る課題に向き合っていく事にした
この時通話に夢中で、ドア隙間から姉が覗いていた事は夕飯時に知る事となる…




