面接
自分、福羽、鹿島さんの三人プール行きは決まったが問題はまだあった
「うーむ…お金無い」
店のバイト初任給は両親への贈り物を買ったが働いたのは五日間だけである
店としては福羽と共に色を付けて渡してくれたのだが、遊び先で飲み物や食事もとなれば手持ちが心許ない
福羽も同じかと思えば「贈り物のお金親が押し付けてきたって言ったじゃん」とそういえばそうだったと思い出す
高校生としてはこの先遊びに行くにもお金は必要になるだろう
となれば、バイトしかない
悩んでいた店のバイト契約を正式に結ぶか決心が付いた
「父さん」
「ん?どうした優斗?」
幸い今日は定休日で父が家に居る、定休日でも店に行ったりするのですぐ捕まったのは良いタイミングだろう
父にこの先の予定を話した
「――って言う訳で、自分も働きたいんだ」
「そうか、しかしどうして働きたいになったんだ?父さんや母さんに遊びに行く時だけ工面して貰うやり方もあったろう?」
父は少し不思議そうに聞いてきた
「…やっぱりこの間の臨時バイト経験して得たお金をどんな風に使うのかが良い経験になったんだ」
「ほう…」
「前まではお手伝いでやってたけど一つ一つやる事に責任と言うかやりがいみたいな気持ちがあって、店に対しての見え方も変わったと思う」
正直に想いを整理して父に伝えると父は微笑んだ
「よし、採用しよう」
「え?」
「今のは面接だよ、もちろん家族間が混じる甘い面接だったかもだが優斗は優遇されたのではなくつむぎ亭オーナーの合否を受けたんだ」
「父さん…ありがとう」
「それに来週の土曜日だろ?どのみち私達に頼らなければお金手に入らなかったよ」
「あ…」
そうなのだ、いくら働けても来週土曜までに手元に無ければ意味がないのだ
そして普通に違う所でバイト出来たとしても両親に一度建て替えて貰うなりしなければダメだったのだ
「優斗はまだ高校生一年目の夏、遊ぶなら遊ぶと決めて遊べる手段を選びなさい、勿論今回店で正式に働くとなるから働く時は働くとメリハリを付けるんだ」
父からの言葉に励まされる
「優斗はこれからまだまだ体験することがある、その内の一つを自分で選べる大人になってきたんだ、勿論勉強もしなけりゃだけどね」
「うん、頑張るよ」
「私達も、優斗の本当の父さん母さんも大人になる君を楽しみに見ている、それだけは忘れずにな」
どこか嬉しそうに見つめられる事にくすぐったさを感じながら自分は頭を下げた




