暖かさ
思考が止まり心臓の鼓動が大きく早く胸の所で響く
遅れて今言われた言葉が追いかけてくる
父の顔を正面に据えながら言葉を出そうとするが繋がらず何も言えない自分を見て父は言った
「落ち着いてそのまま聞いてくれ」
混乱はしているが不思議と感覚は冴えているまま父の言葉を待つ
「優斗は父さんの妹とその旦那さんの子なんだ」
今目の前に居るこれまでの人生を共に過ごした両親は叔父であり叔母となる
そして慕ってきた姉は従姉妹である事を語り父は一息付いて力強い眼で宣言をした
「本当の関係性はあるが優斗を違う子と思った事は一度も無いし誰が何と言おうと私達の息子で茜の弟だ」
「貴方が十六歳になる日に真実を伝える決断はしてたけど何も変わる事はないの、貴方は私達の子供なんだから」
優しい眼差しで優しい声で母はそう言った
少し心の揺れが落ち着いた気がする、子供の頃から向けられていた安心を感じる優しさに今日流れ込んできた情報が整理されていく
これまでの人生で一緒に居たのは両親と姉ではなく叔父と叔母と従姉妹だった
いつから?本当の両親は?何故そんな事に?
少し落ち着いてきたら疑問が浮かんできたが察したように父は言う
「色々聞きたい事があるとは思う順を追って話していこう」
「うん、いつからそうなって何でそんな事に?」
「まず...父さんの妹と旦那さんつまり優斗の両親は他界している」
やはりそうかと目を伏せる、少し考えれば1番高い可能性の事だ
「優斗が赤ん坊の時この家に遊びに来ていたんだ、お前を預かり妹夫婦の買い物時間中に交通事故の報せがあった」
父も母も見せた事ない悲しみの表情を隠しきれないまま当時の状況を語る
「貴方が何も知らなかったのは赤ちゃんだったからもあるけど私達で決めたのよ、貴方が十六歳になりこれから大人になる今日に打ち明けようと」
「さっきも言ったが過ごした時は変わらないし優斗は私達の子供だ、ただ本当の両親も居る事は心に持っていて欲しい」
戸惑いは勿論ある、それ以上に父と母の一言一言に確かな想いも感じ身体に入り暖かさを感じている
これまでが偽りの家族だったとも思えずただただ自分は大切にされて育てられた事に疑いは無かった




