パーティ終わりの一夜明けて
つむぎ亭十周年お疲れ様パーティも終わりに向かい、最後に両親からスタッフに向けた挨拶が始まった
「皆…普段からの営業を支えてくれて本当にありがとう、私と朋子で始まったこの店も十年…あっという間だったけど密度が濃く楽しい日々を送らせて貰っている」
父は一人一人の顔を見るようにゆっくりと話していく
「お客さんに来てもらっていく内にスタッフも増えていき、子供達も大きくなって手伝いをしてくれる、私は幸せ者だ」
そう言うと皆から自然と拍手が起こり、母が続いた
「周助さんがお店を始めたい、そう夢を言った時は現実と天秤にかけたわ、当時茜は十歳で優斗は六歳だったもの」
母の当時の葛藤に皆静かに話を聞く
「でもね、なんとかなるか!って、なんとかするよ!って私も子育てしながら勉強始めてお店を支えてこれたと思うの、そこは自信あるわよ」
笑いながらスッパリと言い切った母に皆笑う
「周助さんが土台を固め私が繋いでく、そして今は皆が広げてくれた事に感謝よ!本当にありがとうございます!」
深々と頭を下げて感謝を表す父と母に鳴り止まない拍手が贈られる
自分も少し涙腺にきている、姉も涙を流し…福羽はボロ泣きしてる
「俺こういうの弱いみたいだよぉ」
「何でお前が一番泣いてんだよ」
「だってよぉぉ」
そんなやり取りを見て店内が笑いに包まれる
そんな中スタッフの一人が誕生日の定番の歌を歌い出した、合わせて皆が被せていき一人がキッチンの冷蔵庫から大きなホールケーキを運んできた
「俺達スタッフからもつむぎ亭へのお祝いです!」
皆、店が好きなんだ
そう感じて嬉しくなった
両親、姉も同じ気持ちなんだろうまた涙溢れそうになっている
ケーキには十本の蝋燭が立てられた
「さあ柊家皆さんで吹き消しお願いします!」
スタッフ達から歓声と手拍子が上がり家族は顔を見合わせて笑う
肩を寄せ合いそれぞれ蝋燭を消していく
更に大きな歓声と拍手が起こりパーティの最後を締め括った
(今日、忘れられないな)
自分の中にある人生で一番となったパーティ
生まれは違ったとしても間違いなくつむぎ亭、そして両親の子だと改めて刻みこんだ
――朝日が眩しい
昨夜の十周年パーティから明け夢のような時間過ごしたなと思い出す
両親の堪えきれない涙、姉の達成感に満ちた顔、スタッフ達の暖かな笑顔、ボロ泣きの福羽…
(福羽は無事帰れたのだろうか)
スマホを操作しメッセージを送っておく、昨日までの共に働けた感謝と昨夜無事帰れたのかと
返事はすぐにきた
(いやもう泣きすぎて目腫れて父ちゃん達に爆笑されたよ!)
どうやら無事に笑われたらしい、なによりだ
追加でメッセージが来る
(また後日家族で食べに行かせてもらうからな!)
ありがたい事だ
着替えを済ませてリビングへ行くと両親が朝食を用意していた
「おやおはよう優斗、よく眠れたか?」
「おはよう、今日からまた通常営業でしょ」
「ああ、いつも通りに戻るがいつも通りを毎日する事が大事だからな」
「ほら優斗も座ってご飯食べちゃいなさい」
少し用意を手伝い、いただきますと三人で朝食を囲む
「…姉ちゃんは?」
「茜は調べ物があるからって大学の図書室行くって朝から出ちゃったのよ」
また何か考えてるのかな?
「まあ自主的な勉強も良いんじゃないか?単位は落としてないようだし茜はあれでポイントを抑えてくる」
父の姉に対する評価は割と高いようだ、イベントプレゼンで成長を見せた結果だろう
「うふふ、でも次は優斗の番ね」
「え?」
「え?じゃないわよ、夏休み始まって一週間バイトに忙しくて課題やってないでしょ」
「うん…まあ…そうだね…」
「メリハリが大事なのよ!ご飯食べたら進めちゃいなさい!」
現実は時に厳しい、同じ状況だった福羽も同じように言われてる事だろう
切り替えて目を背けてた現実と向き合うか…腹を括り課題は何があったかなと必死に思い出していた




