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紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


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恥ずかしさと達成感

 驚愕の顔でワナワナ震えてる福羽を見て繋がった

 (あ、よく聞くバイト先に来た親に見られてどうするか混乱するやつだ)

 反応が早かったのはうちの母だった

「福羽君のご両親ですか〜!光司君凄い頑張ってくれて大助かりです!来てくださってありがとうございます〜!」

「息子が大変お世話になってて本当こちらが感謝です!あの子家ではだらしない姿しか見せなくて本当に本当にもう!」

「光司の父です、お店に雇って頂けてあいつこの数日で成長したみたいで本当にありがとうございます」

 福羽の顔は真っ赤だ、無理もない、これは恥ずかしい

 そんな福羽の様子を見て自分はニヤけてしまう

 さっきまでの動き回りが嘘のようにぎこちなくなった福羽はご両親にお冷を提供して言う

「父ちゃん母ちゃん来るって言ってなかったじゃん」

「行かないともいっとらんよ」

 笑われながら軽くやり取りをして待機ポジションへと帰ってきた

「柊…なかなか恥ずかしいもんだな…」

「自分は家族一緒に働いてるから慣れてるけど気持ちはわかるよ」

「ニヤつきながら言われてもなぁ」

 そっと母が忍び寄り

「福羽君、料理提供も任すからね」

 福羽は白目を剥いた


「ビーフシチューとフィレステーキ上がるよ、福羽君」

 キッチンから父の指名が入った

「…はい!…?…コレは?」

「サービスだよ」

「すいません父ちゃん母ちゃんの為に、ありがとうございます」

 福羽はこの五日間で教わった事全てを体現するように気合いを入れ直し深呼吸して料理をセットしていく

 そんな様子を見て父がキッチン越しに声を掛けた

「堂々とした一番カッコいいとこ見せてあげなさい」

「ハイ!」

 料理を持ち颯爽と福羽両親の元へ

 ピタリと止まり「お待たせしました」そして緩やかに確実な動作で料理を置いていく

 最後に「こちら柊のお父さんからサービスとの事です」と別皿に盛り付けられたエビフライを置きひと息

「ご注文はお揃いでしょうか?」

「ええありがとう」

「うむ、大丈夫だ」

「ごゆっくりどうぞ」

 福羽が一礼して去ろうとした時

「光司、あんたカッコいいわよ」

「大人になったな」

 ご両親の笑顔と一声ずつ掛けられて顔は赤くなりながらも再度一礼し戻ってくる

 福羽は照れながらもちょっぴり大人の顔になっていた


 時刻は二十一時となり行列も入り切りオーダーストップを迎えた

 一日続いたつむぎ亭十周年イベント営業もひとまず一段絡となる

 今日は閉店時間は考えず最後のお客さんの退店を見送るまで父と母は残るらしい

 姉はレンタルした販売所で使った物の返却チェックに入りスタッフ達は片付けを少しずつ始めていた


「この五日間二人共よく頑張って活躍してくれた、ありがとう」

「本当に忙しかったけど楽しかったわ、あなた達は時間だからここで終了よ」

 父、母に労いを掛けられて照れてしまう自分と福羽だった

 思えば長いようであっという間に過ぎた五日間だった

 福羽が一緒で良かったなと思ってると

「柊が一緒で俺本当良かった」と言うものだから少し涙腺が緩む

 そんな様子を見ていた母がエプロンから封筒を取り出して渡してくる

「はい、あなた達の積み上げた正当な報酬よ」

 給与と書かれた封筒には勿論お金が入っている

 お金だが手伝いのお駄賃でもお小遣いでもお年玉でもない働いて得たお金だ

 封筒を見つめ何かを思う福羽と同じ感情があるだろう

「なんかスッゲー嬉しいです!ありがとうございます!」

「はは、ありがとうはこっちのセリフだよ福羽君も優斗もだけど二人がこちらの業務を手分けして今日のイベント営業作ってくれたんだから」

 父の言葉に働いた実感が更に湧いてくる

「さあさあ今日まで疲れたでしょう先に帰ってお風呂入ってゆっくりしなさい、明日は定休日だけど今日のお疲れ様会を十八時にやるからね?忘れちゃダメよ」

 明日店の皆でパーティ、心が踊るのを感じてる

 ふと福羽を見ると真剣な表情になりどうかしたのかと聞こうとした時

「柊のお父さん、お母さん本当にありがとうございました!俺、ここで働けて良かったです!」

 深くお辞儀をして福羽は感謝を述べる

 少し父も母も泣きそうになっているし慈しむよう福羽を見つめている

「まだ父ちゃんと母ちゃん席居るし一緒に帰ります!柊明日な!」

 そう言うと福羽は両親の座るテーブルへと歩いていった

「男の子は急に成長するもんなんだよ」

 父が感慨深げに呟き母は言う

「短い期間だったけど息子が一人増えたような気持ちだわ」

 自分にとっては友達だが…やはり友達とは少し違う位置になってるなと福羽家族が楽しそうに話してるのを見て感じていた


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