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紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


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折り返して

 ようやく列の勢いが弱まりついに途切れた時、店の昼営業が終了してる事に気付いた

 見れば大きな寸胴鍋一杯にあったシチューは底を突きかけ福羽の後ろに用意してた山程の資材が嘘のように無くなっていた

「か〜っ!凄かった!!三時間経ってたなんてな!」

「いやもう手が上がらない…」

「二人共お疲れ様!!凄い人だったわね〜計画以上に売れたわ、本当なら夜も販売予定だったけど残量的に無理そうね」

 冷やされたスポーツドリンクを手渡してきながら姉はそう言った

 福羽も自分も渡されたドリンクを一気に飲み干す

 タープとパラソルで日陰とは言え夏場の暑い時期に三時間ワープしたのだ、身体中の水分が抜けている

「姉ちゃん夜どうするの?確かにこれじゃあ厳しいけど」

「茜さん〜パンも容器も残りこれだけです〜」

「まあ元々売り切れゴメンだったから予定より早いけど夜は無しにしましょ、父さん達に言ってくるわ」

 パタパタと店に入っていく姉を横目に福羽に聞いてみる

「どうだった?」

「いや〜楽しくてやばかったな〜」

 抜け殻のように出し切った二人で笑いあう

「でもちょっと寂しくなってきたかな」

 福羽はそう呟いた

「寂しい?」

「だってよ、今日でバイトは最後だからな」

 確かに今日を目標にこの五日間過ごしてきた

 二人で色々体験し学んだのだから言いたい事はわかる

 ただ自分は両親が営む店の子でありこの先も関わるが福羽は契約上関わりが終了となる

「まあ確かに寂しいかな」

 不意に漏れてしまった

 聞いているのかいないのか福羽は空を見ている

 自分も真似するように空を眺めた


 両親と姉の話し合いで正式にテイクアウト販売終了が決まった

 店の皆と賄いを食べながら昼営業を振り返る

 正直ビーフシチューボックスの販売数は予想外過ぎたと父、母、姉三人口を揃えて言う

 どうやら夜営業終わりぐらいに尽きる計画で準備していたのだが三時間で終わったのだ

 店内はと言うと客席キャパシティに限界がある為ピークが長いくらいの感じだったそうだ

 スタッフ皆窓から見える外の販売所を見て応援しか出来ないけど頑張れ若者よ、と言っていたとか

 それにクラスメイトのグループが割と来てくれていたようで皆料理を喜んでくれた事を聞き嬉しくなる

 各々昼営業で感じた事など共有し次の夜営業までまったりして過ごしていった


 一時間の休憩も終わり時刻は十六時を周った所

 まずは今日昼営業で大活躍してくれた外の販売所を整理する事になる

 明日レンタル会社が回収に来るので綺麗にしつつまとめて置く

 それが終われば営業準備だがベテランスタッフによりきっちりスタンバイされていた

 少し空いた時間で空の皿を使い母直々に料理提供の仕方を福羽と二人で教わる事に

 母が大事にしている事は安全に提供動作が行われるか、チェック厳しく見られていく

 練習は空皿だが実際は中身が整って入っており崩れないように、汁物ならば飛びこぼしがないように

 当たり前とされる事は当たり前にやろうと意識持って行われるから守られるのであり効果は顕著に表れると母は言う

 付加価値は慣れでいくらでも追加出来る事であり基本を抑えた動作や目線を少ない時間ながら二人とも叩きこまれた

 このまま夜営業はフロアスタッフとしてお冷と料理を運ぶのがメインなのだろう

 店の両翼に自分と福羽が分かれ中央を姉が動くらしい

 昼営業に比べれば勢いはまだ落ちるかもだが並ぶのは間違いない

 なぜなら夜営業の開店十分前ながら並ばれている

「改めて見ると凄い愛されてるよな、柊の店」

「うんまあそう思うよ、ありがたい事だ」

 二人で話しながら開店時間を待つ

 十周年を記念する飾り付け施された店の中をぐるりと見回していると母と目が合った

「落ち着いて見るといつもより特別感あるでしょ?」

「そうだね」

「あなた達のお友達も目を丸くして楽しんでたわよ、そして外で忙しくしてた優斗と福羽君を応援してたわ」

 嬉しくて恥ずかしいが喜んで貰えて良かったと安堵する

「さあ、夜が始まるわよ」

 母が微笑み玄関へ向かった

「皆様お待たせ致しました〜順にご案内致します、いらっしゃいませ!」

 その声を皮切りにイベント最終時間がスタートした


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