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紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


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準備

「ただいま」

「お邪魔します」

 玄関を開けた音で気付いたのか奥から姉がパタパタ走ってきた

「おかえり〜お、福羽君久しぶり〜上がって上がって!」

「ありがとうございます茜さん!お邪魔します!」

「優斗は皆のお茶淹れてきて〜」

 返事はイエスかハイしか許されない


 お茶を用意しリビングへ向かうと非常に大きな幕のような物が置いてある

「姉ちゃん何これ?朝はこんなの…と言うかどこからこんな物を…」

「イベントの目玉その一、巨大カーテンよ」

「なんか体育館のステージにありそうな分厚い生地ですね」

 三人で少し広げて見るがリビングでは広げきれない

「お店の一番長い窓側に設置するからね〜これに飾り刺繍するのが時間掛かったわ〜」

 確かに所々に金糸で縁取りされた模様があったり中央上部の部分だろうか10の数字が大きめに施されていたり

「姉ちゃん刺繍なんて出来たんだ」

「どう言う意味よ」

「いやーこれ大作ですよ、早く飾って見たい」

 正直中々のインパクトではある、店を知る人は勿論初見でも目を惹くだろう

「姉ちゃんがこの数日姿見せなかったのってこれやってたの?」

「甘いわね、これだけじゃ無いのよ!これが一番大変だったけど……」

 少し遠い目をしてるが他にも動いていたのか

「あなた達二人が店で経験値稼いでる間にしていた私の行動を話してあげましょう」

「あ!聞きたいです!」

「いや、まあ結果が知れたら自分はそれで…」

「優斗!あんたは福羽君を見習いなさい!」

 なんやかんやのやりとりをしながら姉は語り出した


 メインはカーテンだが地域への周知の為炎天下ビラのポスティングをしていた事

 大学の友達伝いに告知を広げドリンクチケットの配布をしていた事

 保健所や役所を周り「とある許可」を取りに行ってた事

 イベント機材や調理機器レンタルをする会社を見まくっていた事

「ふぇ〜…茜さんめちゃくちゃ忙しかったんですね」

「数日姿見てないと思ったらそこまで動いてたなんて…」

「ふっふっふこれが成人した者と高校生の差よ、正直頭おかしくなるかと思ったわ」

 つむぎ亭十周年イベントが決まってすぐ動き出していたから一ヶ月は普段の生活の合間を縫って準備していたのだろう、素直に姉の行動力が怖いぐらいだ

「で、姉ちゃん俺達は何するの?」

「あーもうちょっとで来るかな…」

 ピンポン

 チャイムが鳴り来た来たと姉は玄関に向かっていく

「あなた達も来なさいイベントの目玉その二よ」

 福羽と顔を見合わせて玄関へ向かう

「ありがとうございましたー!」

 外に何やら色々と置かれている

 大きな畳まれたパラソル、ステンが輝く腰程まである高さの機械、長机複数

「姉ちゃん…これは…」

「明日限定だけどイベントの目玉の土台よ」

「スッゲー大きな物ばかり」

「…姉ちゃん明日何するの?」

「ふふふ、つむぎ亭初の……で…これで……セットして…って事をやるのよ!」

「もしかしてその為の許可を?」

「そうよ、そして主に担当するのはあなた達になるかもね、店でミーティングはしてるけどあなた達二人は全体補助もあるし開店前準備から閉店作業までは働けないの」

「え?」

「どういう事ですか?」

「だって高校生だし未成年じゃん、お店丸一日最初から最後まで働いたらお父さん達捕まるわよ」

 姉の話では未成年高校生は1日8時間の労働時間が最大との事

 ざっくり説明を受けたのはこうだ

 昼の立ち上げ前後清掃含む10時から15時まで働き間に休憩、17時から21時となると実働9時間となりアウトとの事

 実際は清掃や準備の時間も掛かるため微増するのである

「え〜知らなかったです…」

「うん、手伝いの時は気にした事なかった…っても丸一日は無かった」

「これから先どんなバイトや就職先に行っても達している年齢とかで基準があるって事覚えときなさいね」

そこで福羽が質問する

「じゃあ明日僕らどうするんですか?」

「店の皆とは連絡し合ってたんだけどイベントサポート隊として12-21ラインで昼営業前半の入り具合とオペレーションチェックした上であなた達のスキルを活かしたポジションを動かしていくわ」

「姉ちゃん…それって…12時入りって事は……」

「お察しの通り!いっちばん盛り上がってる時にいきなり放り込まれスタートするのよ」

 ゲラゲラ笑いながら言い放った姉の悪魔の笑い方よ…

「やべぇめっちゃ楽しそう…」

 福羽も怖い事呟いてる

「ま、その前にあなた達の今日最後のお仕事あるんだけどね」

「え?」

「優斗、あんたか弱い女の子にこの荷物を運ばせる気?」

「勿論力仕事は任せて茜さんは見守っていてください!」

 なんでお前そんな張り切ってるんだ……台車に乗せて何往復で行けるかな……

「まあとりあえずディナー終わらないと運び込めないからお茶しながら最終チェックしちゃいましょ、明日の為に今日は早閉めだしすぐ出番くるわよ〜」

 のんびりしながら声を出す姉と久しぶりに姉と会えた嬉しさを爆発させてる福羽を見て、明日、いや今日の搬入から頑張るかぁと気合いをいれたのであった


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