イベント前日
――バイト四日目
今日は十週年イベント前日に当たるので昼営業後に福羽と柊家に行って姉を手伝う流れらしい
まずは昼営業の準備からだ
福羽も慣れたのか一度やった事を思い出しながら初日よりテキパキと動いている
(あいつ凄いよなぁ割と一度で覚えてくるし…そういや人の名前もすぐ覚えてるもんな)
両親と自分以外のスタッフにも積極的にコミュニケーションを取る福羽の対人スペックの高さに舌を巻く
自分はどう足掻いてもオーナー夫妻の息子と見られるので恵まれた環境ではある
対して福羽はその友達ではあるが外部から来た新人で見られる
その中で自ら存在をアピールし道を作っていく福羽には正直脱帽だ
そんな事を考えてる内に店前には開店待ちのお客さん達が見え出した、さあ今日が始まる
気合いを入れ直して迎える用意をしていった
営業が始まればフロアは母を筆頭に素早くも丁寧な接客を、キッチンは父が指示を出しながら作り上げていく
そして今度はキッチンが作り上げたベストな状態の料理をフロアが受け繋いでいく
横目で見ていたが見事な連携してると思う
必要最低限の言葉と動作、調整必要な瞬間の判断で全体をコントロールしている
昔から見ていたのに今気付いた事だ、手伝いからバイトとして意識が変わったのだろうかと不思議な感覚である
視界に福羽が入った
福羽も何かを感じているのか圧倒されているのか店の代表とそれを支えるスタッフの連携に目が離せないようだ
今日はイベント前日だが来客がいつもより多い、常連さんから「明日は十周年だねぇおめでとう」と頂くのもあったので地域の方が来てくれているのだろうか
(忙しい)
だが、心地良く嬉しい忙しさに嫌にはならなかった
嵐の昼営業が終わり店も中休みに入る
さすがにスタッフ皆「今日は忙しかった」と声を上げてる
「明日は本番ね〜もっと忙しくなるわよ〜そんな皆にハイ!」
休憩に入りすぐどこかに行っていた母はドサっと荷物をテーブルに置き皆を呼んだ
「おおー!コレ駅前の人気ジェラート屋のやつじゃないですか!」
「きゃーありがとうございます朋子さん!」
スタッフ皆歓喜である
「ほらあなた達も一つ選んで持って行きなさいな、茜が待ってるわよ」
店ではこれから明日のミーティングをするそうだ
「子供組は明日イベント全体の補助でフル回転になるだろうからな頑張ってくれよ、明日終わったらささやかなパーティするからな」
父はそう言い母もスタッフも笑顔で頷く
各々の役割をこなそう、そう覚悟を決めた時
「俺達もできる事こなしてこうぜ!」と福羽は笑いかける
同じような事を考えてたなと笑い姉が待つ自宅へと向かった




