バイト二日目
「さあお疲れ様だ二人とも!今日は初バイト記念賄いだぞ、毎回じゃ無いぞ」
キッチンから父がお皿を両手に運んできた
「うちの一番人気のオムエビシチュー、通称大人様プレートだ」
綺麗な半熟玉子のドレスに添い遂げる大きなエビフライ、その二つを繋ぐようにかかる照り輝くビーフシチューソース
つむぎ亭のスタンダードメニューであり一番人気を争う料理である
「うおおお!すごっ!えっこんな凄いの良いんですか!?」
福羽の目の輝きを見て父は嬉しそうに言う
「初めてのバイトお疲れ様、飲食店だからどうしてもこんな時間に昼食になっちゃうしお腹空いたろう?熱い内に食べなさい」
自分は昔から見てきてはいるし食べた事をあるが今日のは特別な感情がある
福羽は色んな角度からスマホで撮影をしながら感嘆の声を漏らしている
撮っていたスマホを下ろし福羽は父に向かい「ありがたく頂きます!」と言い、笑う父は「賄い付きだから正当な労働の対価だよ」と返した
「いただきます」「いただきまーす!」
二人で昼の感想を言い合いながら食べ進めていく
味の良さに顔を綻ばせながら「俺この歳でこんな美味い物食べて大丈夫かな?」と言う福羽に笑ってしまいながら初日を無事に終えた
――バイト二日目
今日はディナータイムの勤務となる
少しスタッフの顔ぶれも変わるが変わらない「よろしくお願いします!」と元気な福羽は昼夜のスタッフ陣に可愛がられていた
ランチとディナーではメニューも客席雰囲気も変わる、ランチはクオリティを保ちながらもスピード感が大事、ディナーはクオリティを高めながら安心感が大事
と、両親の受け売りである
「なあ柊…なんか夕日になったせいかお店の見え方変わらない?」
「ああ、これからガラッと変わる…と言うか変えるよ」
どういう事だ?と不思議がる福羽を引き連れ窓に近寄る
「見てな」
両サイドに掛かっているカーテンの留め具を外し中央上部から両端へとたわむようカーテンの位置を調整する
昼の日差しが眩しい時はシェードを使うが夜はカーテンで高級感を演出するのである
「おお、すげぇ一気に雰囲気が変わった」
「それとこれを使う」
優斗の手に複数枚のレース柄布があり福羽に半分渡す
「これは…テーブルクロスだな!」
「正解、敷き方はこうやってこうで…」
「お父さん嬉しいんでしょ」
「母さんだってそうだろう?」
「勿論、優斗が友達と仲良くしてるだけじゃなくこの店を良くしようとしてくれてるんだもの」
「そうだな隆さんと沙樹も喜んでくれてるだろう」
「お盆に報告しに行かなきゃね」
「母さん!ゴメンこれシミ付いてたよ、代わり取ってくれる?」
「あらあら、ちょっと待ってねー」
(沙樹、お前の子は大きくなったよ)




