忙しなさ
営業が始まればすぐランチピークの時間である、チラリと外を見れば相変わらずの待ち列となっており店内も満席で賑わってる
「氷水を用意してお冷を足していくだけなのにこんな忙しいとは…」
福羽の呟きに笑ってしまう
自分もそんな事言ってた時あったなと
その時につむぎ亭は人気店である事を実感したのだが、福羽もどうやら同じ感想を抱いたようで嬉しくもある
忙しさはあるが楽しそうでもある福羽を見て微笑んでいたら母と目が合い微笑まれた事を少し恥ずかしくなった姿を見てキッチンから覗いていた父も笑った気配がした
ランチピークが過ぎ去り時刻は十五時、つむぎ亭も一度閉まり休憩となる
福羽のバイト初日はここで終了、彼は良い放心っぷりをしていた
「気合い入れてたけど本当にお冷用意しか出来なかった…俺役に立ててなかったなぁ…」
本人は落胆しているが悲観する事は無い働きぶりであった
そうでもないよと声を掛けようとした時に母が現れた
「初めてのバイトとしてやりきれたわね〜充分な働きよ、自信持ちなさい」
笑顔で褒められ福羽の力も抜けたようだ
「お冷しか出来なかったですよ、皆あれだけ流れるように動き回ってるのにお客さんもスタッフ同士でも一人一人を見れてて凄いです」
「それが出来たのは福羽君のおかげなのよ」
「え?」
「お客さんは始めにお冷を口にするの、そしてキッチン含め私達のスタート台としてなくてはならないお仕事だったのよ、スタートが切れなかったら全てが狂っちゃうからねだから福羽君はできる事を守りきったから私達がスムーズに動ける相互関係なの」
母は今日福羽がやった仕事の重要性を優しく説き笑いかける
「やりきれたのかな…ありがとうございます!」
少し納得出来たようでなによりだ、役に立ててるのかなと不安になる気持ちはよくわかる
自分も手伝いの立場とバイトの立場では見え方が変わっていた
慣れた場所ながら確かに責任を感じていたし、でもちょっと福羽よりは出来るとこ見せたい欲もあったり




