意外な提案
夏休みまで一週間を切ろうとする頃にはイベントに向けた準備も進み、ドリンクチケット配布に来店予定者も絞れて形が見えた時に福羽から意外な話があった
「柊の店ってさ、人足りてるの?」
「人?バイトって事?」
「まあそうなんだが今回イベントやるって言って忙しくないのかなって」
「いやまあいつもよりは忙しいだろうけど」
「だからさ、お店当日手伝う事が出来るなら俺もしたいなと思ってな」
既にイベントへの貢献度は高いと思うのだが更に当日の店を手伝いたいと言うとは思わなかった
「手伝うって…それ福羽はお客さんとして来れないって事だぞ?」
「それでもやりたい気持ちの方が強いかな」
表情は笑顔だが目は真剣だ
何が彼をそうさせるのか気にはなるけど無下には出来ない
しかし手伝いと言えど店で働くとなれば色々確認しなければならない
「…臨時バイト扱いできるか父さんに聞いてみるよ」
「お!頼んだぜ!」
「――と言う訳なんだけど父さんどうしよう?」
「ふーむ」
父へと福羽からのお願い事を伝え判断を伺うが父の表情が変わらない
やはり無茶なお願いなのかもしれないと思い出した時だった、父の表情は崩れ笑い出した
「父さん?」
「あはは、ごめんごめん嬉しくてな」
「そうね、そこまでお店のイベントに関わろうとする事もだけど…」
父と母が共に目を合わせ微笑む
「父さん達が嬉しいと一番思ったのは優斗にそこまで仲の良い友達が居る事だよ」
父は笑い母も頷いてくる
少し恥ずかしい
「良いんじゃないか?特別バイトとしてバイト料とまかないを付けようじゃないか」
どうやら快諾の流れになったようだ、福羽に連絡してやらないとと思った時だった
「優斗、お前も福羽君と同じ条件で働きなさい」
「え?」
「以前バイト契約して働くかを聞いただろう?まだ迷ってたみたいだが今回を機に体験してみなさい」
父からの話に驚いてしまう
「福羽君とやるならその方が良いわね、じゃないと福羽君も気を遣っちゃうわよ」
母も後押しをしてくるが確かに条件が同じ方が良いのかもしれない
「んーじゃあ自分と福羽のダブル臨時バイトで」
思わぬ事になったがきっかけとはこんなもんなんだろう
とんとん拍子に必要な物や確認事項を進める両親を見ながら少しばかり先の迷いは晴れてきた気がしていた




