緊急家族会議
夜、つむぎ亭十周年イベントに向けた家族会議が姉により招集された
「それではこれより緊急会議を始めます!!」
「緊急だったんだ」
「緊急だったのね」
「緊急なのか」
姉を除く三人は同じ感想を漏らしている
「緊急でしょ!?優斗がクラスメイト達にイベント参加をお願いしてるんだよ!?」
「いや、自分が促してるんじゃないけど…」
「ほう優斗のクラスの子達来るのか頑張らないとな」
「確か高校になってから福羽君だったかしら?連れて来てくれたわよね」
のほほんとした感想の両親に姉は食いついてくる
「お父さん!お母さん!高校生とは言えこれは優斗の招待客なのよ!それにクラス単位となると当日のオペレーションにも気を遣う事になるわ!」
確かにクラスメイトとして招待している形にはなるし団体集中すれば負担も掛けるだろう
「ふふありがたいね」
不意に父が笑った
「勿論物理的な集中はオペレーションを難しくさせる、だけど営業してる以上お客さんに忙しくなるから辞めて下さいとは言えないだろう?」
「そうよ、茜が言いたい事もわかるけど店として応えて美味しいと思ってもらう為に頑張らないとね」
両親の姿勢と余裕の持ちように長年の経験が伺える
姉の勢いがみるみる抜けていきクールダウンしているようだ
その様子を見計らって母が提案をした
「でも優斗の招待客と言える想いは良い事ね、例えばドリンクチケットをお渡ししてその日来れる時間帯に自由に来店してもらうのはどうかしら?」
なるほど、一斉に二、三十人近く押し寄せるよりは各々に任せた一般グループとして参加するスタイルならばバラけるかもしれない
夏休みとは言え皆が同じ時間に合わせるのも難しく参加出来なかったり、仲良い少人数で動きたい派も居るだろう
更に母は続けて言った
「ウチのお店は高校生にとってはお値段高くなっちゃうからリーズナブルな限定メニューをお父さんに一品追加してもらわなきゃね」
そうなのだ、つむぎ亭の客単価平均は二千円を越えてくる設定で気軽においでよと声を掛けるには高校生には躊躇いがあった
洋食店でありながら地域でも高単価な店にしている理由があるんだろうか?
「お値段のお話はまた今度してあげるからね」
考えを見抜いた母は笑いウィンクをした
「それじゃあレシピ考えるか、その日感謝の還元も踏まえた料理か…」
父はそう呟き頭の中で計算を始めだした、これは割と本気になっている
「じゃあ私はドリンクチケット用意するから優斗はざっくり来る人数と時間帯調べるように!」
「え!?」
「何がえ?なのよ」
「あ、いやなんでもない」
クラスメイト全員に聴き取りしに行くのかと少し気が重い
クラス仲は良好だが深く親交あるのは福羽ぐらいで緊張してしまう
(福羽に相談するか…あいつが焚き付けた本人だし)




