リーダー
文化祭準備期間は割と慌ただしかった。
普通に授業をこなしながらお化け屋敷作り、特に自分の会計担当は日々重なるレシートと帳簿作りに予算管理に追われていく。
放課後集中できるかと言えばそんな訳にもいかず、店のバイトもあったりであっという間に二週間が過ぎて行った。
「柊君、とりあえず買い出し班も収まったね」
「ああ、鹿島さん……もうレシート見たくないね」
買い出し班が持ってくるレシートを保管するファイルはパンパンだ、一体何に使ったのか……
「鹿島ちゃん〜予算と残金合わないよ〜」
同じ会計担当の雛鷹さんが嘆きながら来た。
「うそ!?誰かレシート持って無い!?」
文化祭クラス副リーダー鹿島さんはすぐ皆に確認を取り出す。
「おーいミニコンポ借りてきたぞー!」
そして登場した文化祭クラスリーダーの福羽、どうやら機材を抑えに行っていたらしい。
「……福羽、お前レシート持ってないか?」
「ん?おおあるぞ!」
犯人が分かり雛鷹さんも鹿島さんもお冠だ。
「すいませんでした……」
「お金合わないのは困るんだからね!」
「レシートはちゃんと出してから離れる事!」
二人の女子に詰められ小さくなる福羽だが、今回ばかりは擁護できない、会計担当の責任になる所なのだから。
だが、リーダーを皆の前で小さくしたままも格好が付かないだろうと助けてやる。
「ほら、二人とも福羽も反省してるし続きやっていこう?」
「柊……!」
「全く、はい遅れを取り戻してね?リーダー?」
優しい笑顔が怖いと感じた鹿島さんの圧に福羽は走り出す。
「ふふ、あの二人なんだかんだ仲良いよね」
雛鷹さんはレシートを合わせて再計算しながら笑い見る。
「そうなのかな……まあ仲悪いよりは全然良いけど」
「福羽君が鹿島ちゃんの前じゃ大人しくなるわね、ふーむ意識してるんだ」
しっかり見てる雛鷹さんにゾッとする、自分もそれなりに福羽と付き合いがあるから分かる、福羽は鹿島さんに好意を持っている。
「……何か分かるもんなの?」
「空気とかちょっとした態度で分かっちゃうわよ、でも鹿島ちゃんはハードル高いわよ〜」
「ハードル?」
「そ、彼女恋愛事に興味を示さないんだもん。何度かそんな話になってもぽやんとして分からない様子だし」
女子特有の恋バナとかってものだろうか?
でもよくよく考えたら自分と福羽と鹿島さんの男二、女一でプールに行ったり勉強会もしたりしないだろう。
どこかその辺りの異性との距離感はおかしな節はある。
「福羽も空気や感情を読めるタイプではあるんだけどね」
「彼は鹿島ちゃんに対して踏み込めないのかオロオロしてるわね、これが今回の文化祭でどう発展するか……楽しみだわ」
雛鷹さんは不敵に笑う、こう言うのが好きなのだろう。
「まあ、頑張れとしか言いようが無いな」
自分はエールは贈るが、あまり肩入れはしないようにしておく、自分自身恋心はよく分からないのだから。
そんなこんなで時間はどんどん過ぎて文化祭三日前にまで来てしまっていた。
我がクラスは「可愛いお化け屋敷迷路」なるテーマだ、お化け屋敷を謳い出てくるのは可愛いキャラクターで安心させて最後に幽霊で怖がらせると言った催しになる。
迷路作りに衣装作り、装飾や小道具等クラス内の分担で作り上げて来れた。
想像以上によく出来た小道具に「本気出してきてる」と唸ってしまう程だ。
「おい!偵察にいったら二年生もお化け屋敷があるぞ!あっちは正統派みたいだ!」
今日も勝手に消えていた福羽が帰るなり皆に告げる、偵察とかまでするのかと逆に感心してしまう。
「なんだって!」
「大丈夫!こっちは変化球だ!」
「二年だろうと負けらんないね!」
福羽の言葉に火が付いていく、こう言う風に人を熱くさせれるのがリーダーに相応しいところなんだろう。
「ギリギリまで詰めるぞ!」
「オオー!!」
(こんな事出来るのが福羽って感じだな)
苦笑しながらもやる気は満ち溢れてくる、残り僅かの準備期間自分も頑張ろうと誓った。




