文化祭準備の一幕
文化祭の出し物が可愛いお化け屋敷迷路に決まったが、三週間後まで通常授業との並行準備になる。
クラスメイトも部活やバイトがある中で、放課後に進めていく。
「ふぅ……目がチカチカする」
「うふふ、柊君お疲れ様」
「雛鷹さんもお疲れ様」
雛鷹 凛さん、今回文化祭で自分と同じ会計となったクラスメイトである。
今は手分けして各装飾班から上がる予算の振り分け管理とレシートの記帳に追われる。
「雛鷹さんと一緒で助かったよ、計算は早いし丁寧にしてくれるし」
「あら、嬉しい私も柊君とお話してみたかったし丁度良かったわ」
話?これまで特に接点が無かったのだが……
「自分とお話って言われても特に面白みは無いんだけど……」
「あはは、そんな事無いわよ。ほら夏休みの最初皆で柊君のお店に行ったでしょ?私も行ったんだけど美味しかったんだよね〜」
「おお……ありがとうございます、父と母が喜びます」
あの時に来ていたが覚えが無い、おそらく福羽とイベントテイクアウト販売にひーひー言ってた時かもしれない。
「やっぱりお家がお店やってると大変?手伝ってたりするの?」
「そうだね、昔から手伝ってたりはしたけど今は正式にアルバイト契約して働いてるよ」
「え?凄い!ちゃんとしてるんだ……偏見だけどそう言う家族関係の下で契約して働くって珍しいような」
雛鷹さんは目を丸まらせ言ってくる、確かに少数派なイメージはある。周りに同じような人が居ないからなんとも言えないが。
「ん〜考えたら父さんがしっかりしてるのかな?薦めてきたのも父さんだったし、でもテスト前とか強制的に休ませてくるよ」
「ふーんその辺りは家族なのね。いいなぁ〜働きやすい職場で、あ、楽そうとかじゃないからね」
他の人から見れば自分は働きやすい職場で働いている様に見えるのか、否定は出来ない現に働きやすい職場なのだ。
「私はドラッグストアでバイトしてるけど人が居ないとかでギリギリまで働いてるよ〜」
「え?大丈夫なのソレ?」
確か高校生は夜十時までと週間月間の労働時間に気を付けないといけない。
「夜は大丈夫なんだけど週五で入ったりしたら時間がね〜」
「週五!?働きすぎじゃ無い?」
「そうそうおかげで、こないだのテスト散々だったし三者面談は怒られたし……流石にそこからちょっぴりバイト減らしたけどね、店長に親に怒られたって言ったら平謝りで母に電話したもの」
サラッと言うがまあまあな出来事である。
「じゃあそのおかげで文化祭手伝えるんだ」
「そうだね、ちょこちょこバイトはあるけどね」
自分と違う環境になるとこんなにも変わるものかと思える、割と新鮮な感じだ。
今日はリーダーかつムードメーカーの福羽は居ない、彼はバイトなのだ、そして福羽が居ない時に指揮を取るのが……
「はいはい、大きな井戸から大きなうさぎがこんにちは〜良いじゃない〜」
いつの間にか文化祭副リーダーに就任していた鹿島さんが動き回る。
「鹿島ちゃん大活躍ね〜そう言えばテスト頑張ったの鹿島ちゃんの勉強会があったんでしょ?行きたかったなぁ〜」
雛鷹さんはバイトだったのだろう、教室でやった勉強会には居なかった記憶だ。
「なになに〜私がどうしたの〜?」
話をしていたら当の鹿島さんがひょこっと現れる。
「あ、鹿島ちゃん。大した話じゃないよ、それより予算大丈夫?結構今時点で一杯だけど」
「うそ!?……あちゃあ、少し絞らないとダメね。ありがとう雛鷹ちゃん!」
パパッと皆に予算カツカツだよ、と伝えて周り出した鹿島さんを見て、普段ホワホワしてるけど締める時は締めてくれるよな。
「うーむ、真似は出来んな」
「何が?」
「いいや、何でもないよ。さ、レシート纏めちゃおう」
福羽のリーダーシップ、鹿島さんの切り替え力、雛鷹さんの忍耐力。
人それぞれの特性があるんだなと、考えながら細かな数字を読み取って記帳していった。




