文化祭を作ろう
——担任の小狐が黒板に大きく文字を書く。
「はい!と言うわけで投票の結果、我がクラスは文化祭お化け屋敷に決定です!」
おぉーっと声が漏れる。
「くぅ〜まさか一票差で負けるとはなぁ!」
福羽は悔しそうにするが、こちらはヒヤヒヤだった。
競り合った洋食屋のプロデュースなんかできる気がしない。
洋食屋の息子だからできるみたいなのは無いのだ。
なんとか対抗案のお化け屋敷に決まったところで小狐先生が言った。
「まあ本格的な飲食店は安全管理の面からまず難しいけどな、基本出来合いの既製品を温めて乗せるぐらいだよ」
それを最初に言ってくれたらドキドキしながら待たなくて良かったのではないか?と思ってしまう。
「ともあれ、お化け屋敷をクラス全体で作るには連携が必要よ〜皆、力を合わせてね」
小狐先生は手を出さず生徒達だけでやるスタイルだ、高校の文化祭となると責任範囲が広くなる。
文化祭は三週間後、この日はやる出し物が決まり解散となった。
——夜。
「文化祭決まったよ姉ちゃん」
「え?何やんの〜」
「お化け屋敷」
たまたまリビングに居た姉に文化祭の事を伝えておく、こういったイベントが大好きな姉だ言わないより言っておいた方が後で揉めずに済む。
「へぇ〜お化け屋敷か、定番だからこそ難しそうね」
「でも危なかったんだよ、福羽が洋食屋なんか案に出して……」
「あら!まあでも飲食店は難しいわよ」
「姉ちゃん意外とあっさりだね」
「そりゃそうよ、食品衛生関係に準じて無い環境で大量に作るのは無理よ、出来合いの物を温めて盛り付けるぐらいじゃない?予算とかもあるし」
小狐先生と同じ事を言っている、それだけ安全管理が問われる割にリターンが少ないのかもしれない。
福羽の勢いで決まっていても彼の思うような店にはならなかっただろう、あくまで学校のイベントで飲食店では無いのだから。
「まあ自分はお化け屋敷で良かったよ、変に期待されて押し付けられるのもゴメンだし」
「ふふ、優斗とつむぎ亭がそれだけ光司君の中で大きいのよ、良いじゃない高校生活楽しめるのはあっという間なんだから」
「姉ちゃんは高校の時何やってたっけ?あれ?自分行ったっけ?」
「アンタも来たじゃない、私は着ぐるみカフェやったでしょ」
姉の着ぐるみ、記憶に無いが本人が言うなら多分そうなんだろう。
「まあ……そんなのもあるって覚えとく」
「来年案出してみたら、結構大変だけどね」
姉はカラカラ笑い自室に帰っていった。
「ふーむ、まあとりあえずお化け屋敷だな、自分で言い出したから責任はあるし」
これから三週間後に向けて毎日少しずつミーティングと準備が始まる。
少し楽しみにはなっている自分が居た。
——翌日、放課後。
「よーし、まずはどんなお化け屋敷にするかだな!」
ちゃっかり全体進行役のポジションをゲットした福羽の声に苦笑する。
お化け屋敷にどんなお化け屋敷とかあるのか?
「はい!怖く無いお化け屋敷が良いです!」
クラスメイトの一人がいきなり変化球を放る。
「なるほど新しいテーマだ、少し考えてみようか!」
福羽の否定しない受け入れて考える姿勢がクラスのムードメーカーであり、リーダーであるところか。
「じゃあさ出てくるお化けを可愛くしちまえば良いんじゃ無いか?」
「それってお化け屋敷か?」
「迷路とか作る?」
「美術部出番だな!」
皆が思い思いに話し出し膨らんでいく、あらかた出きった所で締められる。
「よし!怖い背景だけど出てくるのが可愛いお化けで迷路があるんだな……ん〜なんか足りないな」
福羽が纏めて悩み出し、閃いたように手を叩く。
「オチが無いんだ」
「あ〜」とクラスが漏らす。
確かに設定は怖く無いお化け屋敷として新しいが、可愛いもの巡りなのかよく分からないまま終わってしまう。
「……最後出口で思いっきり怖いのが脅かすでオチ付けたらどうだ?」
お化け屋敷立案者として発言してみたが皆が止まる、少しどうしていいか分からない空気が流れ……
「それだ!」
「一気に落差がでるじゃん!」
「それならお化け屋敷でしたってなるもんね」
思いの外反応が遅れて来た、だが良い反応にホッとした。
「よしよしよし決まって来たな、おっと時間だ。装飾班美術部明日から設計頼むぜ!」
「おー!」
うちのクラスってイベント好きだよな、キラキラ熱い皆が眩しかった。




