前を向いて文化祭何やる?
——月曜日。
「おはよー」
「おはよう福羽、親父さんとは三者面談以降話せたのか?」
「ん……まあ話したって言うか、保留……だな」
「保留?」
「三者面談の時はお袋だったけど、次の結果で見極めたいんだと」
「お袋さんも?意外と言うか福羽の好きにさせてくれるイメージあったけどな」
「俺もだけどな……帰って二人に聞いたら学期末テストで結果が出てからだってよ」
福羽への進路設定は次の学期末テスト次第と言う事で、今回は見送りらしい。
「……蓮さんの言ってた通りだな」
「ん?柊、蓮さんがどうしたんだ?」
福羽も、つむぎ亭夏の十周年イベントに来てくれたから蓮さんを知っている。
「いや蓮さんが言ってたんだ、一回はイレギュラーの可能性で見られるから次が勝負だなみたいな事を」
「やっぱりいきなり今までより遥かに良い点取ると、イレギュラーとか思われるのか……頑張ったんだけどなぁ、世知辛い」
「まあでもバイトは許して貰えたじゃないか」
「ああ……バイトもして環境変わって次成績維持出来るのかが本番だ、みたいな事親父に言われたよ」
福羽の親父さんから初めは「ちょっと良い点取れたから進路好きに選ぶなんて」と言われた福羽が可哀想だとは思った、しかし話を掘り下げていけば納得せざるを得ない環境下であるのも事実。
時間が経ち頭の熱が放出された福羽も理解しているようだった。
「……っし!次結果出しゃいいんだ!」
気合い入れて切り替えて、いつもの福羽になる。
やはり明るい福羽がしっくりくるのだ。
「はーい、皆座って座ってー」
担任の小狐が入ってくる。
皆ガタガタと席に着き静まる。
「はい、三者面談皆お疲れ!何人かまだ決めれてなかったりしたけど一旦忘れて文化祭の打ち合わせしましょうか!」
ざわざわとクラスメイトは話し出す。
「先生!何やるんですか!」
「いやいや、皆で決めるんだよ」
福羽が早速エンジン全開だ、見てて清々しい程元気すぎる。
「まあしっかり決めるのは放課後のホームルームになるから、やりたい事考えときなよ〜投票になるだろうからな」
またクラスは騒つく、高校初めての文化祭で何をどこまでやって良いのか想像が付かないのだ。
「飲食系は人気だが許可も手間も厳しいからね〜先生があまり出ないやつで頼むぞ?」
なんだか小狐先生の本音が見えたが、飲食も有りなのかと思っていると福羽と目があった、嫌な予感がした。
朝のホームルームが終わり福羽が近付いてくる。
「なあ柊」
「いやだ」
「まだ何も言ってないだろ!……文化祭洋食屋とかどうだ?」
「あのなぁ、誰がどう作るんだよ」
「いやだからさ手間を掛けずに出来る方法を、柊の父さんに聞いて貰ってだな」
「手間を掛けて店出してるんだぞ?聞けるかそんな事」
「じゃあこうしよう、議題には出すから投票で決まったら聞いてみよう」
「なんで聞くの前提なんだよ……教えてくれなかったら?」
「……それは出来合いのものを詰めたワンプレートで良いかな?」
「聞かれても知らないよ、お化け屋敷とかで良いじゃないか」
福羽とのせめぎ合いだったがチャイムが鳴り中断となる。
(マズイな……あいつの人望を発揮されたら決まるぞ)
ただでさえクラスの中心ムードメーカー、しかもイベント事には勢いが増していくタイプ。
対して自分はクラス内では控えめに喋る少し隠れた存在、何故か仲良くしてるのが福羽や鹿島さんと言ったクラスの一軍と呼ばれるような二人であるだけだ。
「……自分は静かに行きたいのだが」
——放課後。
「はーいでは議題は文化祭に何するか?ね」
「はい!洋食屋が良いと思います」
早すぎる福羽、即答どころでは無かった。
「柊が入れば調理や店のメニュースタイルはイケるし、洋食屋なんて他と被んないでしょ?」
「おお!柊が居るもんな洋食屋の息子だし」
「確かに有りそうで無いよな文化祭で洋食屋なんて」
福羽のプレゼンにクラスメイトが次々肯定してくる、非常にマズイ展開だ。
「自分はお化け屋敷が良いかと、皆が協力して満遍なく受け持てるし……飲食だとほら制限がやっぱり」
負けじと反論と対案を投げる。
「確かに洋食屋って数人集中になりそうだな」
「教室全部お化け屋敷って定番だけど憧れるよな」
良い感じに味方が着いてきた。
その後はたこ焼きやフランクフルト、演劇にミュージカルなんかも出てきた。
「うーん、出揃ったかな?それでは投票タイムね〜」
小狐先生が立ち合いの下、皆が一票を投じていく……
「うん、全員ね?それじゃあ開票するわよ〜」
緊張の瞬間だった。
一つ一つが正の字を形作っていく……
「お、おいこれって」
「お?お?どっちだ?」
なんとお化け屋敷と洋食屋の争い同票……
「最後一票よ〜……ほほぅ決まったわね」
小狐先生が微笑みチョークを取る……
最後の一票は……!




