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紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


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131/202

面談までの時間潰し


 ——水曜日を迎えた。

 今日は三者面談の日である。

 まだまだ進路の気持ちは固まってないが、何かが福羽と鹿島さんとの話で見えたような気はしている。

「優斗、あなた一度帰ってくるの?」

 母が聞いてくる、学校終わって少し面談時間までの時間が空く。帰ってもすぐに出なきゃならないのなら学校周辺で待つ方が良いだろう。

「いや、どっか学校の近くで時間潰すよ」

「そう、なら私が着いたら電話するからね」

「わかった」

 母と待ち合わせの確認をしていたところで姉が起きてくる。

「おはよう、何今日が三者面談だっけ」

「茜、今日遅いわね」

「今日二限からだしゆっくりできるの〜」

 大学生とはそんな感じなのかと聞き入る。

 高校までと違って一律に決められた時間では無いから、姉は自由に動いてるように見えるだけか。

「何よ優斗、何見てんのよ」

「なんにもないよ、行ってくる」

 姉に睨まれ家を出る、頭の中が纏まってないので変な緊張感が生まれる。

 まあ今更どうこうも出来ないし覚悟を決めるぐらいしか出来ないのだが。

 学校に着き福羽と鹿島さんに「今日だねと」声を掛けられた。

「そう言えば鹿島さんは昨日だったけどどうだった……?」

「うーん、まあお父さんもお母さんもやりたい事をやってくれたら良いってスタンスだから、特に何かは言われなかったかな……でも、それが困るのよね」

 鹿島さんも鹿島さんで、その将来にやりたい事が浮いた状態だから悩んでいる。

 一昨日の話でそう感じている、一方で福羽は決まっているらしい。

「俺は明日だけど進学してバイトしながら見つけて行くぜ!」

 ここまで清々しく言われたら「頑張れよ」としか言えない、これはこれで一つの選択肢なんだろう。

「鹿島さんは成績伴うから心配より自由が強いんだろうなぁ……自分はなぁ」

「何言ってんの柊君は大きくジャンプアップして中間テスト学内五十位よ、自信持たなきゃ!」

 励ましてくれる鹿島さんが優しい。

「俺は柊より一つ上に居るがな」

 マウントを取る福羽がウザい。

 とは言え、大きな判断材料にはされるだろう、安定させて初めて評価に値する。

 成績を武器にと言っても選択できる進路の幅が増えるだけで、結局選ばなければならない。

 その選ぶ方向性の段階なのでまだ答えは出せない。

 まだまだ子供であり、でも大人の影はチラついてくる。

 非常にイライラしてしまう板挟みなのが正直なところだ。

「まだ進路について匂わせてくる段階なのにな」

 誰に言うでもなく呟いた。

 三者面談期間中は短縮授業で昼までには授業も終わる。

 既に面談を終わり解放されてるクラスメイトは遊びの予定を立てている。

 気楽に構えれば良いのだが性格上そうなのか、自分は乗り気になれないタイプだ。

 一人もしくは少人数で静かに楽しみたいタイプなのは昔から、少し引っ込み思案で目立つ事はあまりしない。

 そんな自分でも別に嫌いでは無い。

 明るく元気に周りを巻き込んでいく福羽のような友達が居れば楽しんでいる、社会に出れば仕事仲間も色々なタイプが居るだろう。

 自分のペースを守りながら合わせる時は合わせる、受け身寄りだがそれが自分だと見ている。

「……何か食べに行くかな」

 昼までの授業なので昼食を外で探しにいく。

 学校周りを探索するが、よく考えたらあまり知らない事を知る。

 程良く住宅街にあり、駅前に出れば入りやすいチェーン店もある。

 ただなんとなく住宅街を選んでみた、つむぎ亭のような個人店が無いかなと探していたら目を惹かれた店を見つける。

 道端からジッと虎柄の猫が中を見ている、自分に気付いて太々しく歩き去って行った。

「変な猫……ん、ここは個人のイタリアンか」

 時間的にも丁度良いしレベルが高そうだが値段はそこまで高くない設定だ、決まりだった。

 ガチャ

「いらっしゃいませ!」

 若い男性スタッフが案内してくれる、キッチン側を見ればメインの料理は金髪の外国人が作っている。

 (本格イタリアンだ……え?石窯まである)

 個人店だからこそなのか、こだわりが見える風景。

 男性スタッフに聞いておススメのペペロンチーノとマルゲリータのハーフで注文。

 (なんかワクワクするな)

 ピッツァを伸ばし石窯に入れる動作に目が奪われる。

 (すっご……あ、もう出来たのかな?)

 男性スタッフが運んできたペペロンチーノとマルゲリータを前に喉が鳴る。

「美味そう……頂きます」

 ペペロンチーノを一口……「あ、美味い」

 マルゲリータを一口……「うわっ、焼きたて香ばしい!」

 食べ始めたら夢中になりあっという間に平らげてしまった。

 (世の中にはつむぎ亭以外にもレベル高い個人店があるんだな……)

 

 少し世界の広さをしった気分になった。

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