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紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


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 一歩を踏み出すには標が無くどこまでも広がる荒野の真ん中でポツンと佇んでいるような感覚だ

 自分にできる事を探すにもアテが無さすぎて風に吹かれるまま時間が過ぎている

 父からバイト提案のあった日から二週間余り経つも自分の一歩が踏み出せないままだった

「頭じゃわかってるんだけどな」

 そう呟きながら迫る学校の期末考査の勉強も手付かずにいた

 先日に福羽から言われた「怖くても動いてみなきゃ」の言葉が今も浮かんでくる

 今の自分がやるべき事と気になる事とやってみればいい事は全て一歩踏み出せば良いだけなのだ

 慎重すぎるのか臆病なのか面倒くさがりなのか我ながら腰の重い人間だなと笑ってしまう

 何かきっかけが欲しかった、甘えと言われるかもしれないが自分だけでは動けなさそうである

 ぐるぐると勉強に身も入らず天井をぼんやり見上げていた時部屋のドアが勢いよく開けられた

「優斗!お祝いするわよ!」

「ビックリした...ノックしてよ姉ちゃん」

 突然の訪問に考えてた事は吹き飛び只々姉を見つめる

「何?お祝いって?誰の?」

「お店のお祝いよ!来月で十周年なのよ!」

 そうかもう十周年を迎えるのかと思っていると

「お店飾り付けてお客さんに告知して特別メニューも出して忙しくなるからあんたも手伝うのよ!」

 かなり強引な身柄確保な気もするが店の祝いなら協力は惜しまないつもりだ

 しかしこれまでイベントとは縁の無かった店で急にやりだすなんて両親もやる気なんだろうか

「姉ちゃんまさかまた突っ走って企画したんじゃ」

「失礼な!ちゃんと父さん母さんと話して許可取りましたー!私がプロデュースする一日限りのお店ハピバイベントよ!」

 意外すぎる事に話を通した上でこっちに来たのか

 以前に嗜められた準備力を磨いていたのか姉の成長と行動力に驚きを隠せなかった

「姉ちゃん凄いな」

「私は日々進化してるのよ」

 満面の笑みで親指を立てる姉は輝いて見えた


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