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紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


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120/201

時を経て


 金曜を迎え鹿島さんと今日の来店について話し合う。

「前も言ったけどどうしてもお父さんが行きたい〜って言うのよ、私は行けるから嬉しいけど」

「はは、真希さんは夏休みぶりだからね、ウチはお客さんだから全然構わないんだけど……」

「だけど?」

「父さんが何か変なんだよね、ソワソワしてると言うか何というか」

「うちのお父さんもだわ、なんなのかしらね?前は営業中で会えなかったよね?」

「うん、今回は父さんから挨拶がしたいって。だからごめんだけどうちの父さんがお邪魔するよ」

「そんなつむぎ亭のオーナーがわざわざ来てくれるなんて!うん!伝えとくよ、また夜にね〜」

 授業が始まりそうだ先生が来た、不自然な父同士。

 親とはそんなもんなんだろうか?と首を傾げながら授業の用意をした。


 学校が終わって帰宅、夕方からバイトだ。

 準備をして少し早めに出発する。

 店に着けばまだ中休み中で、スタッフは各々過ごしてる。

「お、優斗君早いじゃない」

 蓮さんが椅子に座り本を読む横で覗き込んでいる、もう一人のキッチンスタッフのお姉さんが居た。

 

「中々私と被らないよね〜久しぶり優斗ちゃん」

 優斗ちゃんと呼ぶ明るく若い女性は尾鳥 美香(おとり みか)、横にべったり引っ付いてる蓮さんと同期のつむぎ亭キッチンのもう一人の要。

「あれ?美香さん今日入ってました?」

「ちょっと今日オーナーに頼まれてスポット参戦だよ、優斗ちゃんだいぶキッチン出来るようになったってね?」

「はは、まだまだですよ」

「美香、ちょっと暑い引っ付かないで」

 蓮さんが面倒そうに押し除けている、ちなみに付き合ったりはしてない。

 仲は良いがどちらかと言うと美香の距離感が独特なのだ。

「蓮ちゃーん連れないなぁ、まあ良いや何か今日はオーナーの大事なお客さんが来るんだってね」

 父の大事なお客さん?鹿島さん家族なら自分の繋がりだが?

「そうなの父さん?」

「……ああ、だから美香に頼んで少し営業中に抜ける」

「ふ〜ん……珍しいねそこまでするなんて」

「ふっ優斗も友達が来たら挨拶ぐらい抜けさせてやるからな」

 父は笑う。

 そうこうする内に夜営業の時間だ、皆休憩を終え店を立ち上げていく。

 そして迎える夜開店、いつものように何人か並んでいたお客さんを入れていく。

「美香が居るから動きにくいな〜」

「まっ!蓮ちゃん私のセリフよ」

 今日は一人多いキッチンで賑やかだ。

 やいやい言いながら父含め蓮さん美香さんの連携は凄まじい、あっという間に料理が上がる。

「優斗、お前は少しフロア出なさい友達来るだろう?来たら知らせてくれ」

「わかった」

 父の指示でコックコートからエプロンに変えフロアに移動する。

「あら?優斗キッチン追い出されたの?」

 母は笑いながら言ってきた。

「違うよ、父さんが前で鹿島さん迎えてやれって」

「詩華ちゃんもう来るかな……あ!来たわね」

 店のドアが開き学校ぶりの鹿島さんを見る、後ろにはお母さんの詩織さんとお父さんの真希さんが続く。

「ご無沙汰してます、鹿島さんこちらへどうぞ〜」

 母が率先して案内しに行った、鹿島さんは自分を見てピースしている。

 流石にピースでは返せないので会釈し、キッチンの父に伝える。

「父さん、鹿島さん達来たよ」

 ピクッと少し反応したように見え、「キリが付いたら出る」と答えた。

 やはりなんか様子がおかしい。

 フロアに戻り鹿島親子を見れば真希さんがジッと自分を見てて様子がおかしかった。

 なんだろうと近くに行ったら……

「久しぶりだね優斗君……お父さんは元気かい?」

 元気?前回会った事が無いはずだが聞くものなんだろうか。

「はい、げん……」

 そこでポンと肩を叩かれた。


「久しぶりだな、真希」

「周助!」


 父が現れ、その姿に反応する真希さん。

 明らかに見知った二人の反応に自分と鹿島さん母娘は驚く。

「え、父さん……?」

「お父さん?柊君のお父さん知ってたの?」

「いやー何年ぶりか、実は優斗君のお父さんとは昔働く場所が一緒だったんだ」

 真希さんは話出す。

「ふ、子供達の前で恥ずかしいな、とりあえず料理出すから食べたら話そうか」

 父はそう告げキッチンに戻った。


 昔馴染みだったから様子がおかしかったのかと納得する。

 時を経て再開した二人の嬉しそうな顔が印象的だった。

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