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紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


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仕込み作業


「じゃあ明日直接つむぎ亭に行けば大丈夫なのね」


 早いものでテストが終わり、テスト返しも終わり。

 普段の日常が戻って金曜日を迎えていた。

 自主的な勉強時間の方が長かったが、どうして普段の授業の方がキツく感じるのだろうか。

 永遠の謎だと思いながら明日の予定を鹿島さんと福羽にしている。

 鹿島さん達アントガールズはバンド練習を終えてから向かうとの事で、自分と福羽も店で合流するのが一番手っ取り早いと決まった。

 お疲れ様会と言っても食事会みたいなものだし、店は席予約をしてくれている。

 夜時間帯の午後六時からなのでと、普段予約は受けないが特別にと許可も貰った。

 予算も伝え父は特別なメニューで迎えてくれるらしい、なんだかんだ父が一番喜んでくれて居たのかも知れないと思える。

「楽しみだなぁ」

 福羽はあれからバイト探しをしているがニッチな職にこだわってるのか進捗は無い。

「明日の差し入れも用意したし、楽しみにしてるよ!」

 鹿島さん達が用意したいと申し出てくれた差し入れに乗っかり、自分達もお金を上乗せして渡しているので問題は無いだろう。

「あ、そうだ姉ちゃんが居るけど気にしないで……」

 姉が丁度バイトに被っていたので担当すると言っていた、余計な事言わなければ良いのだが……

「茜さん居るんだ!俺久しぶりだな!」

「私もだわ!」

 二人は姉に会える喜びを出しているが、イマイチ自分には分からない。

 それが姉弟ってものか。

 兎にも角にも準備しては出来た、明日を迎えるのみだ。


 ——土曜、朝

「優斗、起きてるか?」

 目覚めてすぐ父が部屋に来た。

「おはよう父さん」

「ああ、おはよう。今日友達来るだろう?」

「え?そうだけど?」

「新メニューのスパイスボックスの仕込みをお前やるか?」

 牛サイコロとスパイスライスにホワイトソースとチーズで仕上げたドリア「スパイスボックス」

 名付けたのは自分だが、今も慣れない。

 そんな新メニュー仕込みをやっても良いのだろうか?

「鹿島さんには世話になったんだろ?少しでも返してあげたらどうだ?」

 確かに、何か物を用意するには時間もない。

 ここはお言葉に甘えておくのが良いだろう。

「わかった、やってみるよ」

「よし、なら父さんは先店行っとくからな」

 そう言って出て行った。

「父さん、はりきってるな」

 やはり、一番今日を楽しみにしているのは父なのかも知れない。


 朝の身支度を済ませてつむぎ亭に向かう、中では開店準備がテキパキと進んでいる、この中でやっても良いのだろうか。

「お、優斗君来たね〜材料の場所は分かるね?俺がサポートするからレシピ見ながら揃えていこうか」

 蓮さんが付いて出来上がりを見てくれるようだ、それならばと必要食材を揃えて行く。

 玉ねぎにパプリカに牛肉に……

「うん、用意出来たら具材をカットして玉ねぎ炒めておこうか、火傷と怪我注意ね」

 蓮さんは自分の仕事をこなしながら的確に指示を飛ばすし、ポイントポイントで見てくれているのが分かる。

 用意されたレシピに沿って工程を進める。

 炒めた具材をスパイスライスに合わせ大きめ耐熱皿に詰める、六人前量になるとインパクトが凄い。

「さすがにボリューミーだな、優斗君食べる時は皆に皿が熱いのを注意しなきゃだよ、女の子達らしいじゃん」

 この情報は母か姉か……ニヤニヤしている蓮さんは置いといて仕込みは完了する。

「よーし、後焼き上げは俺に任せてよ!お疲れ様!」

 仕上げは皆が揃ってからになる。

「蓮さん、こんなパーティスタイルで焼き上がるの?」

「勿論、調整は必要だけど店のオーブンはプロ仕様だからね!」

「ふーん……」

 これまで数多くの料理を作り出してきたオーブンを眺めて思う。

「デカイ」と。

 改めて見ると一番大きな調理機器じゃないだろうか。

「ふふ、上下左右から高熱を当てるから取り扱い要注意さ」

 自分はまだ焼きには携わらせて貰えていない。

 それだけ危険なのだろうと理解はしているが、興味はある。

 焼き上がる料理は美味しそうだし、入れる前と後で姿を変えてくるのも面白かった。

「優斗君もそろそろさ、もう少し慣れてからだね」

 蓮さんは笑いながら言う。

「まあ、そろそろだな」

 父も聞いていたのか頷いている、やれる範囲が広がってきて嬉しい反面目の前で素早くオーダーをこなす二人を見るとそこまで出来る自信は無かった。


 とりあえずスパイスボックスの仕込みを終え、一旦自宅に戻り時間を待つ事にした。

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