テストの報告
テスト返しで晴々と家に帰るなんて小学生に成りたて以来じゃないだろうか?
まだ全体順位は出てないが一教科ごとの点数は分かる。
間違いなく今回は頑張った分の点数が取れているので、堂々と父と母に見せられるのが嬉しかった。
「ただいま」
「おお、おかえり優斗」
「あら、ちょっと早いのね?おかえり」
「父さん、母さんテスト帰って来たよ」
そう言ってテスト用紙を取り出す。
過去最高をマークしたテスト達に高揚感を持ちながら、誇らしげに見せた。
「ふんふん……え、一学期より格段に上がってるじゃない!」
「ほう、優斗今回頑張ってたもんな」
「まだ目標は学内五十位だからそれ待ちだけど、期待出来ると思う」
「優斗やるじゃない!やっぱり詩華ちゃんのおかげかしら」
「いやまあかなり大きいとこではあるけどね」
実際鹿島さんに目標から勉強の進め方まで、大変お世話になっている。
足を向けて眠れないと言うが、まさに今の状況の事だろう。
「姉ちゃんもなんだかんだ気遣ってくれたし……姉ちゃんは?」
「茜は大学よ、そろそろレポート追い込むんだって」
姉は自由に動くがその分やるべきはしっかりやるタイプだ。
「優斗、店に友達連れてお疲れ様会やるんだろ?土曜日だったか」
「あ、そうだ父さん新メニューのスパイスボックスを是非出して欲しいんだ」
「スパイスボックスを?何人分だ?」
「全員揃えば六人なんだけど、福羽以外はバンドメンバーでスパイスボックスって言うライブハウスで演奏してるから気を惹くかなって」
「ほう……もしかしてそのライブハウスから名前取ったのか?」
「まあ、イメージ重なったって感じだけどね」
「ふむ……なら大皿にしてサイズアップシェア前提の……」
「あらら、お父さん考え出したわね。とりあえず高得点おめでとう〜でも維持するのも大変だからね?」
痛いとこを突かれたが、頑張るしか今は言えない。
「ただいまー」
姉も帰って来たようだ。
「ただいまって皆集まってどうしたの?」
「優斗が良い点数で帰って来たのよ」
「お、テスト返ったのね……まあまあ上がり幅を考えたら上出来じゃない?八十点台ばかりだから詰めが甘いけどね」
素直には褒めてくれないが、それなりに評価は頂けた。
「詩華ちゃんはどうだったの?私見た限り己の戦いになりそうだったけど」
鹿島さんは返ったテスト全問中二問だけしか落としていない、まさに超人だ。
「まだ一教科返ってないけど二問二点しか落としてないよ、本当に凄いと思う……」
「あちゃあ、二つも落としちゃったのね……アンタちゃんとフォローしなさいよ?詩華ちゃんレベルなら異常事態よ」
「……そうなの?」
「アンタらレベルの争いじゃないんだから、トップ狙いに行く中で二つは怖いでしょうね」
「ステージが違いすぎる……」
単純に自分は喜んでいたが、人によってポイントが変わってくるテスト。全体順位発表のある週明けはどうなるなのか。
「まあなんにせよ勉強期間からバイト再解禁出来るわね」
母がニコニコしながら言う、都合二週間は制限されたバイトもまた始まる。
店に行ってない時間が長く感じる、仕事覚えてるだろうか不安だ。
お疲れ様会も来週土曜に控えているので、この先の予定や計画も立てていきたい。
そもそも今回の学内五十位目標に達する事で、先の進路にも関わる将来像を描くのが目的でもある。
まだスタートにすら立ってない。
「ところで光司君はどうだったの?アンタと同じレベルくらいと見てたけど」
「福羽は……自分よりちょっとだけ点が良い、週明けの返ってきてない一教科で決まる」
「何?アンタ負けてんの?あはは良いライバルね」
姉は笑い飛ばしてくる。
「ライバルって……自分は思った事無いが……」
「光司君は優斗をライバルと思ってるわよ、見てりゃ分かるわよ」
「……そうなの?」
そう言えば妙に自分の動向を気にされるが、クラスの中心な福羽がそこまで気にする動機がわからない。
「福羽……なんなんだ一体」
自分から見た福羽は良い奴だ、競う事は楽しいが争いはしたくない。
「高めあうのも男の友情ってやつじゃないの?分かんないけど」
姉がサラッと言う。
なんか恥ずかしい気持ちはあるが、競う事で互いが引き上げ合うならメリットだろう。
週明けの順位発表がどうなるか、今はそこだけが気になっている。
やれる事はやったので悔いは無いが、出来れば届いて欲しいと思っていた。




