いつやるお疲れ様会
緊張の解放からかいつの間にか眠っていた。
それ程に今回のテストに力を注いだのか。
自分にとって挑戦した時間が誇らしい、ただ結果を伴うかにはなるが。
「晩御飯までには起きてくれてよかったわ〜」
敢えて寝かしてくれた母はハンバーグをテーブルに並べながら言う。
「優斗はもうちょっと普段から勉強すべきね、毎回こんな力を使い果たすもんじゃないわよ」
いつの間にか帰っていた姉はサラダをつまみながら言ってくる。
「いや、そりゃまあ分かってるけど……」
「で、アンタの中ではどうだったの?」
どう、とは手応えの事だろう。
テスト結果はまだな分予想でしかないが……
「今まで以上に出来た……とは思ってる」
「ふーん、まあ良いじゃない。でも次の期末は今回が最低ラインになるからもっと大変よ」
「うぐ、分かってるよ……」
頑張ったと言う事は、そこまで頑張れると言う事。
勉強なんか積み重ねである以上ハードルは上がっていく。
「もう茜ったら、ほら優斗も食べちゃいなさい。お父さんがハンバーグタネ用意してくれたんだから」
店で出すハンバーグを父が家用にアレンジしてくれたんだろう、普通にお店のハンバーグで美味しい。
父は店があるので帰ってから食べる流れだろう、家が洋食屋を経営してると家庭内料理の質が上がると思われるようだが、案外変わらない。
こうやって頑張った特別な時にレベルの高い物が出てはくるが、普段は一般家庭と変わらない……はず。
「おいし〜アンタが頑張れば私が美味しいの食べれるんだからもっと頑張りなさい」
姉は理不尽な事を言いだすが、姉自身がしっかり頑張った時には恩恵に預かるので、お互い様だ。
「美味しい……あ……」
「ん?どうしたの優斗?」
「何?なんか入ってんの?」
「あ、いや……母さん、相談があるんだけど……」
ハンバーグに舌鼓を打ちながら、頭に浮かんだ事を母に話す……
——翌日
早ければ本日からテストが採点されて返ってくる。
点数だけでは学内順位は分からないが、ひとまず目安は出来てくるはずだ。
「おはよう柊君」
「おはよう鹿島さん」
朝一教室で会った鹿島さんと挨拶を交わす。
「今日からテスト返ってくるね〜、お疲れ様会も計画詰めたいな」
お疲れ様会、そのワードに反応した。
「鹿島さん、その事なんだけどさ……ウチでやるのはどうかな?」
「……え?柊君の……つむぎ亭で?」
「うん、昨日母さんには相談してみたんだけど予約で取れるし、サービスもしてくれるみたいで……」
昨夜、夕食を囲みながら自分に浮かんだ「お疲れ様会をつむぎ亭で」の案だった。
母に話せば乗り気でOKが出たし、父には伝えといてくれる上に学生サービスでもてなしまでしてくれるらしい。
「良いの!?メンバー皆喜ぶよ!!」
「せっかくなのでウチを使ってくれたらと思って、あと福羽にも……」
「おはよーう!」
遠くから福羽が皆に明るく挨拶をしている、テストが終わって抑えていた元気が溢れ出している。
福羽に目線を合わせて手招きをする。
遠くから言ってしまうと夏のイベントの時みたいに、クラスを巻き込むかもしれないので呼び寄せる。
「何々?何かあった?あ、おはよう」
「元気ね福羽君、柊君から今聞いたんだけどお疲れ様会をつむぎ亭でやらないかって提案してくれたの〜」
「……え!?良いのか!?めちゃくちゃ嬉しいんだけど」
ここまでストレートに嬉しいを伝えてくれるのは照れてしまう。
だが、思った通り好感触だ。
自分でもつむぎ亭の魅力は理解しているつもりだ、恥ずかしさはあるが上回る誇りを持っている。
「じゃあ、後は日程だけか……俺はまだ動きやすいけど詩華ちゃんと柊は?」
「自分は皆が来る日に合わせれるかな」
「私達はバンド練習の後皆で動けるよ〜次練習が……来週の土曜日だね!」
「じゃあ来週の土曜の夜に予定しとくよ、父さん達にも言っとくし」
「やったぁ〜つむぎ亭に行きたいと思ってたから嬉しいな!」
「俺も久しぶりだ〜茜さんは居るのか?」
「姉ちゃんは……自由だからな、知らん」
父と母は店に居るか家に居るかだが、姉は分からない人だ。
「俺久しぶりに茜さんに会いたいなぁ〜」
「……会いたいか?まあ一応伝えといてやるよ」
福羽は姉を推しているが、自分にはさっぱりわからない。
だが期待を持ってる以上、お疲れ様会だし伝えといてやるだけはしようと思った。
「ハイ、座りなさい〜」
担任が来た、その手に担当教科テスト採点済みの束を持って……
少しピリッとした空気になって、皆席に着きその時を待つのだった。




