テストが終わりて
少しの話し声程度で、全体的に静かな教室。
二学期中間テストがすぐ迫っている空気を感じてしまう。
「柊どうだ?いよいよだが」
「もうやってみないとなんともだな、福羽は?」
「俺もだな……こうして悪あがきしてるけど」
福羽は手に持つ自作の単語カードをペラペラと煽る。
やれる範囲は全てやったが不安は終わるまで続くだろう、今回のテストが後の進路相談なんかに絡んでもくる。
チラッと鹿島さんを見れば、静かにノートを見直している。
集中力が高まっているのかホワホワ感が抑えられているモードだ。さすがとしか言えない。
「さあさあ〜お待ちかね〜」
軽快なノリで先生が入ってきた、その手に持つ封筒に始まりのテスト用紙を入れて……
「はい、筆記用具だけ机の上に。物を落としたら挙手で知らせて下さい」
テスト時間の注意事項を説明しながら、前の席からテスト用紙を流していく。
(あぁ、始まるな)
今回はこれまでに無いぐらい勉強もしたし、色々考えさせられるきっかけになった。この結果を出すのが目前の目標である。
教室内が静まる、隣のクラスどころか全教室が静かになっている。
「では、時間です始めて下さい」
先生の一言で用紙を返し、四日間に及ぶテスト期間がスタートした。
——「ハイ!終了です!」
一日目が終わった。
手応えは……ある、一学期のなんと無く受けていた頃よりは確実に。
初日二日目は二教科ずつしかない、時間で見ればあっという間ですぐに帰宅だ。
福羽とは目で挨拶だけをして別れる、テストが終わってから話をしようと互いに決めていた。
「明日が歴史と化学か……」
自分の苦手科目に当たる歴史が絡むが、スケジュール的に事前勉強がまだ出来るのは助かった。
下校して自宅に着き諸々整えて机に向かう。
始まってしまえば、より一層止まらない流れに乗った感覚だ。きっと終わりまで流されていくだろう。
終わったテストは終わった事と見直しは全てやり切った後、次に向けて集中していく。
そうして、二日目三日目と一瞬で過ぎていき最終日を迎えた……
——「ハイ!お疲れ様でした、以上で全テスト終了です」
先生の声がテスト期間の終了を告げる。
クラス内に安堵のため息が漏れて空気が和らぐ。
「ふぅ、終わった……」
自分の気の張り詰めも緩んで言葉が漏れた。
「柊ー!どうだった!?」
約四日ぶりの福羽がうるさい、だが懐かしいうるささに笑みが溢れる。
「お疲れ様二人共〜」
鹿島さんも側に来た、福羽と共にやり切った顔をしているので手応えあるのだろうか。
「柊君はどうだった?勉強の効果はあったかしら」
「うん、今までに無い手応えはあるよ……それが学内五十位以内のものかは結果次第だけど」
「俺も俺も!まだ採点待ちの時間が緊張残るよな」
「だよね〜でも待つしか無いし、早かったら明日には何枚か返ってくるね」
各テストは採点され通常授業時に返される、全て返るとすれば週明け。そこから日を空けて一番の目標「学内順位」が確定してくる。
そこに五十位以上であればミッションクリアだが果たして……
「とりあえず待つ間に、お疲れ様会計画しない?」
鹿島さんが以前言った、自身のバンドメンバーも含めてのお疲れ様会。
具体的な事はまだ何も決めてないが、今はテスト終わりで気が抜けてしまい考えがまとまらない。
「詩華ちゃんは何かやりたい事ある?」
福羽が聞いている、おそらく自分と同じく今は詳しく考えれないのだろう。
「あはは、言い出しといてなんだけど私も気が抜けちゃってすぐには思いつかないんだよね〜」
鹿島さんもエネルギー切れだ。
とりあえず明日に持ち越しとなり解散する。
(お疲れ様会……か)
少しだけ自分の中にイメージがあった。
「ただいま」
「おかえりなさい、どうだったテスト」
帰宅したら母からまず聞かれる、どこの家もそうなのかもしれない。
「手応えは……まああるよ、目標が高いから届くかどうかだね」
「うふふ、いい顔してるじゃない。やり切ったって感じね、今晩は何か良い物作りましょうかね〜」
何故母が上機嫌なんだろう?
「あれ?母さん店は?」
「今日は交代してもらって、優斗を迎えたかったのよ。頑張ってたもんね」
改めて言われたら、嬉しいような恥ずかしいような気がしなくも無い。
「ん……ありがとう」
「ふふ、着替えてらっしゃいな」
母の促しに自室で着替えて、少しベッドに沈む。
思えばテスト準備期間とテスト期間含め二週間以上気を張りっぱなしだった。
想像以上に力を使い切ったのか、何も考えられない。
意識が離れていくのもわからなかった……
「優斗〜……あら……お疲れ様」
母、朋子は優しく頬を撫で優斗を見つめた後、部屋の電気を消して静かに音を立てないよう退室していった。




