↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
103/188

一週間前


「おはよう〜柊〜」


 月曜日、テスト一週間前となり短縮授業の朝。

 福羽が眠そうに目を擦り登校してきた。

「おはよう、眠そうだな」

「ああ、あれからめっちゃ勉強しててな」

 今回の目標は学内五十位以内、しかしあてがわれた勉強量は二十位三十位を見越す量。

 頭のキャパは越えている、自分も同じだ。

「土日であんなに朝から晩まで机に向かったのは初めてだぜ……まだテスト前日でも無いのに」

「自分もだけど……福羽は更に追い込んでないか?」

 少しやりすぎていないか気になった。

「スタート地点が柊より後ろだもん、そりゃその分多くなるさ……」

「……もしかしてお前上に立とうとしてる?」

「……ふふふ」

 福羽はどうやら目標設定にプラスして「柊優斗より上でフィニッシュ」を密かに狙っているようだ。

「いや、まあ良いけど……」

「なんだよ、じゃあもし微妙に俺より下だったら悔しくないか?」

「……悔しい」

「そういう事だ」


「おはよう二人共〜」

 ほわほわと鹿島さんも登校してきた、挨拶を交わし鹿島さんを見る。

 いつも通り、なんなら元気寄り。

 勉強も詰めているだろうに、やはりこの人はベースが違う。

「もう、まだ一週間前なのに二人共疲れすぎよ〜」

 叶わないなと、福羽と顔を見合わせて笑う。

「でも、適度に息抜きしないと力出せないからね?オーバーワークも良くないから」

 ごもっともな事を言われるが、目標設定を考えるとペースは落とせないジレンマがある。

「そう言えば詩華ちゃんはバンドや習い事はどうしてるの?」

「さすがにテスト期間はお休みだよ、終わったら活動再開するけどね〜」

 正直テスト終わったら予定が無い、伸び伸びしたいと思う。

 鹿島さんにはその概念がないのかもしれない、超人だとさえ思ってしまう。

「実はさ俺、親と約束したんだ」

「約束?」

「福羽君何か買ってもらうの?」

「違うよ!そんな小学生みたいな!……バイトするんだ」

 福羽は窓に見える空を眺めながら言った。

「……おう、頑張れよ」

「いやいや、俺がバイトするって親の許しをクリアしなきゃ出来ないんだって!」

「ん?高校生は皆そうだろう?」

「だから、そういう形式上じゃなくて……承認材料だよ、結果が良けりゃ安心して貰える」

 福羽が夏休み、つむぎ亭で臨時バイト出来たのは夏休みであったかららしい。

 普段の生活リズムに組み込む事で、学力に影響する心配をされているそうだ。

「そんなに厳しかったっけ?福羽のご両親」

「ん〜厳しいと言うか心配性と言うか、好きにさせて貰えているけどあとひと押しだったんだよ。そしてテストが来たと」

「福羽君、色々と今回のテストに賭けすぎてない?大丈夫?」

 鹿島さんが心配をする、確かにやるべきは点を取る事だが、そこに希望や想いを乗せすぎてて潰れないかが心配だ。

「今回は俺の挑戦なんだ、学内五十位以内に入って柊より上でバイトの権利をもぎ取る!」

 思えば自分との違いはこの上を目指す時は、とことん勢い良くやってやろうとする姿勢なんだろう。

 福羽らしいハイテンションなやり方ではあるし、なんだがやりそうな気配も見える。

「ふふ、福羽君は眩しいね〜」

 鹿島さんがニコニコしている。

 自分から見たら両方アクティブの塊で眩しいのだ。


「はーい席着いてー」

 いつの間にか予鈴も鳴っていたようだ、慌てて自席に着く。

 今日から短縮授業、昼を終えれば帰る。

 テスト一週間前の追い込みが始まった。


 ——下校時。

「柊君!」

 鹿島さんが来た。

「まだ始まってないけどテストお疲れ様会しない?」

「お疲れ様会?」

「そう、頑張ってるんだしご褒美欲しいもん」

 (まあ確かに過去一勉強を頑張っている、ご褒美はあって良い物だ……)

「良いよ、福羽も呼ぶ?」

「うん!それとね、良かったらなんだけどバンドの皆も一緒にどうかな?」

「アントガールズの?圭子さん、清さん、紘子さんも?」

「そうそう、あっちも皆テストだからね!せっかくだし交流会もできたらなって」

 ライブを見たきりで話はあまり出来ていないし、良い機会だろう。

 少し緊張してしまうが「良いよ」と伝える。

「うふふ、楽しみが増えたね」

「うん、それまで勉強頑張って良い結果出すよ」

 鹿島さんと約束をして別れ、帰り道歩きながら思う。


 (自分もアクティブになってきたな、目立たず静かに過ごしてたのに)

 今は高一の二学期、入学したての頃からだいぶ動くようになったなと一人笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。