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紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


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お勉強の様子


「では始めようか!皆!」


 金曜日放課後、鹿島さんの掛け声で教室に集まったクラスメイトは勉強準備に入る。

 今日は十五人ぐらい集まっており、もはや塾みたいだ。

 目当てはやはり鹿島さんの教えるテスト勉強だろう。

 水曜、木曜と評判が評判を呼んでここまで膨れ上がった。

 正直、鹿島さんの教える物理的な限界人数を越えている。

 だが、一時間だけと定めている。

 強制的に教室が閉まる為、そこまでなのが救いだ。

 そしてその後は福羽、鹿島と共に移動してつむぎ亭でまた一時間ちょい集中。

 自分達のメインはこちらだ。

 クラスメイトに角が立たぬよう、特に鹿島さんの勉強が確保出来るように考えた結果だ。

 店の空き時間を提供してくれた父と母に感謝だ。


 教室前半戦、早速事件は起こった。

「うりうり」

「おい〜やめろよ〜」

 人が十五名も居れば集中力もまちまち、ふざけ出すのも出てくる。

 授業とは違い抑止力ある教論がいる訳じゃない。

 流石にクラスメイトに教えてもらいに来てて、それはダメだろうと注意をしたいが声の掛け方に迷ってしまった。自分のダメなところだ……

 しかし、福羽は違った。

「おい、邪魔をしないでくれ。鹿島さんは自分の手止めて好意でやってくれてるのに失礼だぞ」

 ハッキリとクラスメイトを止めた。

「あ……ごめん」

「すいません……」

 正直、和気藹々と緩くやる仲良し勉強会の気持ちで居た者は違うなと感じただろう。

 数人が場違いと判断して去ってくれた。

「福羽……凄いな」

「何がだ?」

 今の注意が出来る事自体難しいはずだが、福羽は全く気にしていない。だから凄いのだ。

 (自分は怖気付いたなぁ……)

 少しでもラインを越える者に、注意できるようにならなければと思った。


 キーンコーン

 ついに教室利用終了のベルが鳴る。

 一時間なので集中すればすぐだ。

 終わってつむぎ亭へ移動しようとしたが、鹿島さんが囲まれている。

「ねえ鹿島ちゃん、来週もやってくれないかな?」

「短縮授業期間は長めに教室空いてるしさ」

 どうやらテスト一週間前期間も、同じように教える時間を作って欲しいと懇願されているようだ。

 正直、虫の良い話だが鹿島さんにとってはデメリットしか無い。

 だが、決めるのは鹿島さんであるから口は出せない。

 福羽も心配をしている顔だが……


「ごめんね、私今回学年三位以上目指すから早く帰るつもりなんだ、今日教えた事をベースにしてくれたら皆大丈夫!お互い頑張ろう!」

 明るくハッキリ断った。

 最後に激励まで忘れない、コレには皆諦めるしか無い。

 (鹿島さんもハッキリ言えて凄いな……)

 福羽、鹿島さんのズバッと言いにくいシーンを言い退ける姿勢に憧れすらある。

 自分にはとても、皆の目が気になり言い出せない。

 コレが二人がクラスの中心に位置する所以かと、二人を見遣る。


 ——つむぎ亭移動中

「二日連続も良いのか柊?」

「そうよ、凄い助かるけども……」

「気にするな、流石に短縮授業中は営業被るから無理だけど」

 そんな会話をしていればすぐに店に着く。

 何か店先で手を振る人が見える……

「うげ……」

「何がうげ……よ!久しぶりね光司君、詩華ちゃん!」

 姉が出迎えてくれた……何故居るんだ。

「茜さん!お久しぶりです!今日もお綺麗で!」

「茜さん、どうしたんですか?会えて嬉しい!」

 二人は嬉しいだろうが、自分にとっては嬉しくは無い。

「姉ちゃん何で居るんだよ」

「ふっふっ、なんか面白い事してると母さん達から聞いたのよ」

 出来れば会わずに過ごしたかったが、向こうから来られると詰みである。

「さあさあ入って、飲み物は用意してあげるわよ〜」

 何故か仕切り出した姉にため息一つ。

 店に入り皆に挨拶していく。

「昨日に続いてお邪魔します!」

「場所をお貸し頂いてありがとうございます〜」

 二人が席に着き、自分も席に着き……姉も席に着いた。

「え?なんで?」

「なんでとは何よ、せっかくだから私も教えてあげるわ」

「茜さんが?嬉しいな〜」

「詩華ちゃんは可愛いわねぇ〜」

「……姉ちゃん役に立つのか?」

 ドスっと足を踏まれ悶える。

「現役大学生よ、黙って見てなさい」

「あーあ、柊、茜さんを信じなきゃ」

 福羽はしれっと姉側に付いている、したたかな奴だ。

 そんな男達には構わず鹿島さんと姉で勉強範囲の確認をしだしているが……

「ふんふん、この英文はこの接続詞で意味が捉えにくいから前に遡って……」

 なんだか姉が鹿島さんに教えている構図になっている、学年三位相手に話を合わせている姉が別人に見える。

「茜さん、凄い!結構難しかった問題なのに……!」

 福羽と二人でそうなのか?と見合わせる。

「姉ちゃん勉強できたのか?」

「失礼ね」

「まあまあ」

 福羽が仲裁に入った時にチラッと姉はノートを見る。

「光司君は問二の数式が違うわよ、点を取るならしっかり合わせないと」

「うぇ?……あ、本当だ」

「優斗も漢字が違うじゃない、問題以前の問題よ」

 どうやら本当に出来るようだ、一目見て違和感を指摘してくる。

「ほら、目標あるならどんどんこなして間違いを出していく」

 悔しいが先生みたいで、言う事を聞かざるを得ない。

 しばらく問題を解いては指摘されてまた解くを繰り返せば、時間になる。

「弾みが付きました!」

「詩華ちゃんはやっぱりレベル高いわね〜アンタ達は残り一週間で仕上げ切りなさい」

 最後に叱咤激励を受けて解散となる。

「今日茜さんに見てもらえてよかったわ〜ありがとう柊君!」

「いや……姉ちゃん勝手に来ただけなんだけど」

「それでもブーストかかったぞ」

 福羽は進んだ勉強具合に上機嫌だ。

 二人を店先から見送り、店に戻る。

「ふふん、皆頑張ってるじゃないの。優斗この後も見てあげましょうか?」

「いいよ、後は一人でやるから」

「そう?まあ分からなかったら聞いてきなさい、アタシが教えてあげるわ〜」

 姉に教わる方が効率も良くなるだろうが、気恥ずかしさが勝った。


 今日はバイトも無い、姉にバカにされては堪らない、帰って問題集を少し解き進めようと荷物を持った。

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