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辺境伯様が気になったので飛び蹴りを食らわせてしまいました!  作者: ノーネアユミ


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11 アーサー・オーキッド

 今回は辺境伯の視点です。

 辺境のペレニアル地方を治める俺に、王家から命令が届いた。


『アーサー・オーキッドにサフラン公爵家令嬢との婚約を命じる』


 結婚ではなく婚約なのは前回の失敗をふまえてだろう。

 どうしても合わなかったら別れられるように。


 俺はどうしたら彼女を愛せるのか分からなかった。

 母は幼い頃亡くなり、身内に女性が少ないのが理由だろうか。

 あまり中央に出向かなかったせいか、貴族令嬢との会話は続かない。以前の妻には愛想をつかされた。


「坊ちゃんから歩み寄る姿勢を見せませんと」


 執事には小言をもらうが、そのやり方が分からないのだ。




 だから新たに迎えた婚約者へも冷たく接してしまう。


「私に愛される期待など持つな」


 俺は言ってからあせった。さすがにこれはひどすぎる。

 それでもそこからどう謝ればいいんだ?


 俺は狼狽をごまかすように彼女を背にした。

 早くその場から立ち去り立ったが、なぜか背中に衝撃が。

 俺の体が倒れる。理由は‥婚約者殿の飛び蹴りだった。


「はあ?」

「も、申しわけありません、しかし辺境伯様とはどうしても懇意にしたく呼び止めてしまいました」


 それなのになぜ彼女は蹴りを?



「くく、呼び止めるために王都の淑女は飛び蹴りをするのかな?」


 面白い。今まで出会った貴族女性にこんなタイプはいなかった。


「わたくしはここで何をしたら良いでしょうか?」


 彼女は大きな瞳で俺を見上げる。


「特に考えてなかったな。好きにして欲しい」

「了解です」


 彼女との交流を断らなくて良かった。

 その晩の内に情報をもたらしてくれたのだ。


 まさか王都で戦支度が進められているとは。こちらには情報も送られていなかったのに。

 現陛下は政務に興味がないのは知っていたが、王太子の開戦を止めもしないことに驚く。


 今の王家は近親婚のせいか有望株が少ない。身分の低い側妃から生まれた王弟はそれなりだが、由緒正しいのは全員ダメだ。

 まあそれを口にしたら途端に首が飛ぶので、みな黙っている。


 それでも王太子は才気煥発と聞いたので期待していたのだが、ただのお世辞だったらしい。

 彼の評判は全て周りの激務によって成り立っていたとか。

 そして一番の功労者は我が婚約者殿らしい。



 シルビア嬢は自分は好きなことしかできないと謙遜していたが、細やかな視点で領地を整えている。

 戦時体制が速やかに整えられたのは彼女のおかげだ。

 それを彼女は何となくで行っているだと?

 興味は尽きなかった。



(しかし‥シルビア嬢は俺のことをどう思っているのだろうか)


 出会い頭にひどい言葉を投げつけてしまった自分を。

 一応、毎晩夕食を一緒に取り話を聞こうとしたのだが、なぜか業務報告しかしてくれない。


 職場の上司としては好かれているらしい。

 俺をめぐって親戚のエバンジェリ嬢と決闘までしようとしたくらいだ。


 俺は大笑いした。貴族令嬢と話をしてこんなに楽しくなるなんて初めてだろう。




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