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『無能と追放された俺のスキルは“その時不思議なことが起こった”でした』   作者: 楓真パパ


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第3話

行商隊の荷馬車は、のどかな街道をゆっくりと進んでいた。

暴れ馬の一件以来、壮真は護衛として同行することになったが、

道中は驚くほど平和だった。


鳥のさえずり。

風に揺れる草原。

遠くに見える山脈。


(……異世界ってもっと危険だと思ってたけど、案外のどかなんだな)


壮真は荷馬車の横を歩きながら、そんなことを考えていた。


「壮真、歩き疲れてないか?」


声をかけてきたのは、行商隊のリーダー・ガルドだ。

人の良さそうな笑顔だが、商人らしい鋭さもある。


「いえ、大丈夫です」


「そうかそうか。いやぁ、しかし助かったよ。あの暴れ馬を素手で止めるなんて、普通じゃできん」


壮真は曖昧に笑う。


(普通じゃないのは俺も分かってるけど……なんでできたのかは全然分からないんだよな)


しばらく進むとガルドが

「ようしここで宿泊だ。みんな野営の準備だ!」


商隊のメンバ^が馬車から荷物をおろし野営の準備をする。

「壮真は夜間の見張りもお願いしたい。今から食事真では休憩として仮眠をして欲しい」


「わかりました。何かあれば遠慮なく起こしてください」


壮真は敷かれた毛布に横になり、目を閉じた。


次に起こされた時には、もう辺りは真っ暗だった。


焚き火を囲んでの夕食は、温かいシチューとパン。

素朴だが、疲れた体に染み渡る味だった。


食事をとっていると、ガルドがふと壮真に話しかけた。

「ところで壮真……帝国についたらどうするんだ?」


壮真は少し考えてから答えた。


「帝国についたら……冒険者になるつもりです」


ガルドの目が一気に輝く。


「おお! 冒険者か!若いのに度胸があるじゃないか!」


壮真は照れくさく笑った。


「まあ……王国じゃ生きていけそうにないので」


「ははっ、それもそうだな。帝国は冒険者制度がしっかりしてる。腕があれば食いっぱぐれないぞ」


ガルドは壮真をじっと見つめる。


「ところで壮真……もうひとつ聞いてもいいか?」


「はい?」


「お前、どこの国の出身なんだ?」


壮真の心臓が跳ねた。


(やばい……!)


異世界召喚されたなんて言ったら、王国の関係者に通報される可能性がある。


(どうする……どうする……!)


その瞬間――


『その時不思議なことが起こった』


口が勝手に動いた。


「東の島国……ヤヨイ公国の出身です」


(……は?)


自分でも聞いたことのない国名が自然に出てきた。


ガルドは目を丸くし、壮真をじっと見つめる。


「確かにその黒目、黒髪はヤヨイ公国の人々に多い特徴だね。なるほど、ヤヨイ公国は武芸の盛んな国だと聞く。あの馬を止められたのも納得だ」


(マジかよ……そんな国あったのか……!)


どうやらこの世界には本当に存在する国らしい。


「え、ええ……まあ……」


ガルドは満足げに頷いた。


「いやぁ、珍しいな。ヤヨイの人間に会うのは初めてだ。帝国に着いたら、冒険者として大成するかもしれんぞ!」


壮真は曖昧に笑った。


(……助かった……!なんで俺はあんなことを……いや、考えても分からないか)


その後も帝国までの道のりは特に大きな事件もなく荷馬車は順調に進み、3日後には帝国国境近くの宿場町が見えてきた。


「ようし、もう少しだ。みんな頑張れ!!」

ガルドが商隊のメンバーに励ましの言葉を投げかける。

壮真はその声を聞きながら空を見上げながら思う。


(帝国に着けば……きっと何か変わる。王国に追放された俺でも、生きていけるはずだ。まずは帝国で冒険者登録をしよう)


壮真はまだ知らない。


自分のスキルが、どれだけすごいものなのかを……

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