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白鉛紀  作者: 猫吸い中毒者
第一章  地中深く沈む白い叫声
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第8話  白鉛は未来のエネルギー!!

――美しい街、ポンペアン。

王国の深い山々に抱かれたその街は、かつては何の変哲もない、ただの静かな農村に過ぎなかった。清らかな水と土とともに生きる、貧しくも平穏な村。しかし、その地底に眠る「白い悪魔の呪い」――白鉛が発見されたその日から、ポンペアンの運命は激変することとなる。

大戦の勃発とともに、白鉛はあらゆる兵器の動力源として国家の最重要資源となった。それに伴い、何もない田舎村だったポンペアンは、凄まじい速度で近代化の波に飲み込まれ、急速な発展を遂げていった。


今やこの街一箇所だけで、王国全土における白鉛供給量の実に2割を叩き出すまでに成長。国家の心臓、そして生命線そのものとなったこの街を敵のいかなる奇襲からも守るため、時の政府は50万という桁外れの軍隊を常時駐留させ、街の全域を鉄塞のごとき要塞へと変貌させていた。しかし、その輝かしい発展の影には、大国による徹底した「情報の統制」が存在していた。

白鉛が人間の肉体を内側から蝕み、いずれは壊死と結晶化をもたらす恐怖の死病(白鉛病)を引き起こすなどという不都合な真実。それは国家の手によって完全に隠蔽され、街の住人たちに知らされることは決してなかった。


【王国政府による情報統制指針】

「ポンペアンの鉱夫たちに与えるべきは、毒の恐怖ではなく、国家を支えているという『名誉』である。健康被害に関する一切の流言は、国家反逆罪として処断する」

何も知らない純朴な住人たちは、自分たちが掘り出している白い粉が、祖国を勝利へと導く「奇跡のエネルギー」であると、心の底から信じ込まされていた。

彼らは毎日、大国であり世界に名を轟かせる偉大なる祖国の繁栄をその手で支えているのだという計り知れない誇りを胸に、真っ白に染まりながら笑顔で坑道へと向かい、汗を流して採掘に励んでいたのである。自分たちの命が、その手の中の白い粉によって一歩ずつ削り取られているとも知らずに。

 

追記 次回更新は 6月2日12時を予定しています。

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