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下から

咲は資料へ目を落とした。

「律人君……上手く行きそうかな。」

順調だった。

問題は上層部。

流石に直接取り入るのは難しい。

「まぁ、下から固めれば何とかなりますか。」

一週間後。

咲は廊下で山口を見つけた。

「あ、山口さん。」

「ん? 咲さん。どうしました?」

「少し気になる事がありまして。」

咲は手に持っていた資料を開く。

「この数字、合ってます?」

山口は資料を覗き込んだ。

「あれ?」

眉を顰める。

「でも俺が見た資料だと……。」

「こっちです。」

咲は別の資料を差し出した。

山口は目を瞬かせる。

「こんなのあったっけ?」

「デスクの端にありましたよ。」

咲は苦笑する。

「山口さん、資料の管理雑ですから。」

「あー……。」

山口は頭を掻いた。

思い当たる節があった。

「駄目ですよ。」

「紛失したら怒られますよ?」

「耳が痛いなぁ。」

山口は苦笑した。

咲は自然な動作で別の資料を取り出す。

「あ、そうだ。」

「ついでに一つお願いが。」

「ん?」

山口は資料を受け取る。

無明律人の運用権限に関する申請書だった。

「これ承認お願いできます?」

山口は内容へ目を通す。

「運用補佐?」

「はい。」

咲は頷いた。

「討伐効率の向上を目的としたものです。」

「現場との連携も取りやすくなりますし。」

山口は小さく唸る。

重要な書類だ。

即決出来る内容ではない。

だが内容そのものに問題は見当たらない。

「まぁ……。」

しばらく考えた後、ペンを手に取る。

「俺一人の承認で通るかは分からないけど。」

「回してみるよ。」

咲は嬉しそうに微笑んだ。

「ありがとうございます。」

山口と別れた後。

咲は人気のない廊下を歩く。

そして小さく呟いた。

「三人目。」

少し考える。

目標は後二人。

「間に合わせますか。」

どこか楽しそうだった。

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