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健康診断

「何馬鹿な事してるの?」

医療室で、叶は呆れた顔をしながら犬飼を睨んだ。

犬飼はベッドへ腰掛けたまま肩を竦める。

「いや……大丈夫だって。」

「大丈夫な訳ないでしょ。」

叶は即座に否定した。

「体のどこかは絶対やってる。」

「健康だから。」

「二十階から助走つけて飛び降りて、空飛ぶカタストを討伐したのは分かる。」

叶は一度言葉を切る。

「いや、ギリギリ分からないけど。」

犬飼は視線を逸らした。

「命綱なし、パラシュートなし、そのまま落下。」

「討伐できたから良いじゃん。」

「良くない。」

叶はため息を吐く。

「内臓やってるかもしれないし、骨折してるかもしれないし、とりあえず検査。」

犬飼は露骨に嫌そうな顔をした。

「面倒臭ぇ……。」

三十分後。

叶は検査結果を見ながら固まっていた。

異常なし。

完全な健康体。

それどころか数値がおかしい。

「骨密度……三百五十八パーセント?」

思わず呟く。

犬飼はベッドの上で欠伸をした。

「だから言ったろ。」

「いや、意味分かんないんだけど。」

叶は資料を捲る。

骨密度が異常。

筋肉密度も異常。

人間の数値ではない。

「鉄かよコイツ……。」

犬飼は不思議そうに首を傾げた。

「褒めてる?」

「褒めてない。」

即答だった。

なんだか無性に腹が立つ。

叶は資料を机へ放り投げた。

そして満面の笑みで告げる。

「脳がやられてるね。」

「可哀想に。」

犬飼は真顔だった。

「検査項目に脳の検査無かったぞ。」

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