↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
91/119

ヘリオス鉱奪還

「私も戦う。」

叶は当然のように言った。

犬飼は頭を抱える。

「一週間も徹夜したんだろ……。」

深いため息を吐いた。

「頭のネジが外れてもおかしくないよな。」

叶の額に青筋が浮かぶ。

「殺すぞ。」

犬飼は聞かなかった事にした。

叶は腕を組む。

「フンガーの能力は効かないよ?」

「脳のエネルギーを奪って思考出来なくさせるんでしょ。」

「思考継続が便利なのは分かったがな……。」

犬飼は呆れたように言う。

叶は頬を膨らませた。

「行くったら行くの!」

結局。

叶も討伐へ同行する事になった。

◇

フンガー討伐戦。

犬飼は横目で叶を見る。

「なぁ。」

「後ろに下がってろよ。」

叶は聞いていない。

代わりに小さく呟いた。

「出てきて、ウルフ君。」

その瞬間。

叶の背後に無数の剣が現れる。

不変のレーゲル――ウルフェレンダーリヒ。

かつて無明によって斬り刻まれたレーゲルだった。

不変であるが故に死なず。

斬り刻まれた後、灯によって凍結され保管されていた存在。

複数の剣の集合体だったそれは、今では一本の剣として再構成されていた。

叶に服従し、ウルフという名を与えられて。

犬飼は遠い目をした。

「もういいや……。」

諦めた。

今さら何を言っても無駄だと理解したからだ。

一方で。

フンガーは機嫌を損ねていた。

自身の能力が効かない存在が三つも目の前に居る。

犬飼。

叶。

そしてウルフ。

気分が良いはずがなかった。

叶は脳波でウルフを操る。

剣は空を駆け。

縦横無尽にフンガーを切り裂いた。

フンガーの体に次々と傷が刻まれていく。

だが。

叶は知らなかった。

カタストが死に際に何をするのかを。

対策課では有名な話だった。

カタストは一撃で即死させろ。

その理由を叶は知らない。

死を悟ったカタストは最後の力を振り絞る。

一人でも多く道連れにする為に。

命を燃やす。

「え?」

叶が目を見開く。

次の瞬間。

フンガーが爆発的な速度で踏み込んだ。

狙いは叶。

その喉元へ牙が迫る。

だが。

その前に犬飼が動いていた。

「だーから。」

犬飼はため息を吐く。

「家でゲームでもしてろって言ったのに。」

蹴りがフンガーの横腹へ突き刺さる。

フンガーの体が地面へ叩き付けられた。

さらに犬飼は空中のウルフを掴み取る。

強引に振り下ろした。

銀閃。

フンガーの体が真っ二つになる。

沈黙。

そして犬飼は肩を竦めた。

「はい。」

「ヘリオス鉱奪還。」

◇

帰還後。

叶は少しだけ申し訳なさそうに俯いた。

「うーん……ごめん。」

犬飼は気にした様子もない。

「カジノでポーカーするか。」

叶は即答した。

「する……。」

数時間後。

犬飼は後悔していた。

叶は自前の観察眼だけで卓を支配した。

次々とチップを巻き上げる。

犬飼の財布も例外ではない。

最終的な被害額。

六十万円。

犬飼は天井を見上げた。

「やっぱゲームしてろ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。