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犬飼可笑しい

「政治家にならないかって意見、多いですよね。」

リビングで書類を整理しながら春が言う。

灯はソファへ寝転がったまま答えた。

「そういうタイプじゃないし。」

「そうですよ。」

春は即答した。

「国が滅びます。」

「ちょっと。」

灯が上体を起こす。

「それ言われるのは心外だなぁ。」

春は気にも留めない。

「票は集められますよね?」

「まぁ、集められるとは思う。」

「政策案もポンポン出しますよね?」

「まぁね。」

「実現する為の調整は俺任せですよね?」

「うん。」

春は頷いた。

「はい。終わりです。」

「心外だなぁ……。」

灯は不満そうだった。

春は小さくため息を吐く。

「全く。本当にどうかしてますよ。」

灯は少し考えた。

「でも、オリンピック選手にはなれるかも。」

「能力の副次的な最適化で身体能力が上がるのは、冷気を出せば出す程でしたよね。」

「うん。」

「災害です。」

「酷いー。」

灯が抗議する。

春は無視した。

「犬飼さんならまだ分かりますよ。」

「あー。」

灯も納得したように頷く。

「あいつ百メートル七秒くらいで走るしね。」

春は真顔だった。

「マジで何なんですか、あの人。」

「十三メートルだっけ?」

灯が思い出すように言う。

「犬飼が〇・二秒で詰められる距離。」

「人間なんですかね?」

「ヤバいよね、本当に。」

春は深く頷く。

「でもやってる事はパチンコですし。」

灯は思わず笑った。

「パチンコ楽しむ為に機種のアニメ見てるのは面白いと思う。」

「人生楽しそうですよね、あの人。」

「いや、本当に。」

灯は遠い目をする。

「犬飼って何でパチンコしてるのか分かんない。」

「まぁ、そうですけど。」

春も否定しない。

灯は何かを思い出した。

「いや、犬飼の年収って千五百万だよ?」

春の動きが止まる。

数秒後。

「四万負けて発狂してるの、それ考えたらヤバいですね。」

「でしょ?」

二人は顔を見合わせた。

そして同時に頷く。

「「やっぱり分からない。」」

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