なんで作戦思いつくの?
「パンケアかぁ……必要だよねぇ。」
灯は机へ突っ伏した。
春は報告書へ視線を落としたまま答える。
「彼処の土地を奪われてから、病院は金持ちが行く場所になりましたしね。」
「家族が病院代払えなくて借金まみれ。結局、集団自殺なんてザラだし。」
灯は重く息を吐く。
春も否定しなかった。
それは対策課に所属していれば嫌というほど目にする現実だった。
「一応、時間稼ぎは出来たよ。」
灯は椅子へ体重を預ける。
「アストライト鉱山を十兆っていう安い金額で売る条件に、他国を含む医療費支援を取り付けたから。」
「聞きました。」
春が頷く。
「流石に一年が限界でしたけど。」
「だよねぇ……。」
灯は天井を見上げた。
「だからマジで早く奪還しないと。」
「そうですね。」
春は報告書を閉じて立ち上がる。
「じゃあ練習に戻りますか。」
「えー……。」
灯が露骨に嫌そうな顔をした。
「これムズくない?」
春は当然のように答える。
「俺は出来ますけど?」
「腹立つー。」
灯は机に突っ伏した。
しばらくして何かを思い出したように顔を上げる。
「あ。」
「どうしました?」
「神と戦った時みたいに、私の冷気を代わりに操れば良かった。」
春の表情が固まる。
完全に気付かれた顔だった。
「黙ってたなぁー。」
灯がじとっとした視線を向ける。
春は視線を逸らした。
「まぁ、いいでしょう。」
「良くない。」
即答だった。
春は咳払いして話題を変える。
「それより。」
「ん?」
「今回も作戦通りお願いします。」
「毎回思うんだけどさ。」
灯は首を傾げた。
「なんでそんなポンポン作戦思い付くの?」
春は逆に不思議そうな顔をする。
「逆に聞くんですけど。」
「ん?」
「敵の能力が分かってるのに、無策で突っ込みます?」
「いやー……。」
灯は視線を逸らした。
春は呆れたように肩を竦める。
「勝ちたいなら作戦を立てるのは当たり前でしょ。」
そして小さく付け加えた。
「灯さんじゃないんだから。」
数秒の沈黙。
灯はゆっくり立ち上がった。
「今の一言、余計だぞー。」




