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オートプログラム

「強……。」

犬飼が思わず呟いた。

目の前で行われた模擬戦。

勝者は無明だった。

だが。

「死にます……。」

当の本人は床へ倒れ込んでいた。

「無明君、斬らなくても普通に戦闘強いんだ。」

咲が目を丸くする。

犬飼は倒れた無明を見下ろしながら肩を竦めた。

「能力の副次的な最適化で無理やり身体を動かしてるからな。ガチで辛そうだけど。」

「あ……。」

その瞬間。

無明はその場で吐いた。

咲は少し引いた顔をする。

「うん。身体能力自体は変わってないのに、限界以上の動きを無理やりやってるようなものだもんね。」

妙に納得した様子で頷く。

犬飼も苦笑した。

「戦い方もなんか気持ち悪かったな。」

「気持ち悪い?」

咲が首を傾げる。

「あぁ。」

犬飼は先程の戦闘を思い返す。

「フェイントを入れたら引っ掛かると思ったんだよ。でも違った。」

「違ったんですか?」

「全部潰される。」

犬飼は即答した。

「こっちが何を選ぶか分かってるみたいに、毎回最適な行動を取ってくる。」

「へぇ……。」

咲は倒れている無明へ視線を向ける。

強い。

だが同時に、今にも死にそうだった。

犬飼は何かを思い出したように口を開く。

「そういや、一応聞くけど。」

「はい?」

「咲さん、フンガー討伐に行くってなったら嫌?」

咲は少しだけ考えた。

そして即答する。

「まぁ、流石に行きたくないですね。」

あまりにも自然な返答だった。

犬飼も納得したように頷く。

「フンガーは有名ですしね。」

咲は苦笑する。

「律人君が居ても、相討ちになる可能性はありますよね?」

「まぁ、確かに。」

犬飼は否定しなかった。

「レーゲルってそういうもんだしな。」

勝てるかどうかと、生き残れるかどうかは別問題。

それがレーゲルとの戦いだった。

咲は倒れたまま動かない無明を見る。

「律人君と相性が良い相手なら行きますけど、今回はちょっと……。」

その言葉に犬飼は頷いた。

「まぁ、賢明な判断だと思う。」

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