表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エヒト  作者: ルイ
8/34

自分が無い

職場の廊下を、犬飼優人と恋宮叶が並んで歩く。

「はぁ……なんでついてくるんだよ」

優人が呆れたように言う。

「別にいいでしょ。私の勝手」

叶は前を見たまま答える。

すれ違いざま、一人の男と視線が合った。

止まる。

「……ちょっと待って」

男が振り返る。

「なんでしょうか」

「今日はメガネかけてなくてさ。よく見えないんだよね」

「それがどうしましたか」

叶は目を合わせ続ける。

――効かない。

何も変わらない。

「名前は?」

「一ノ瀬蒼です」

優人が横から淡々と補足する。

「白雪が目を付けてるやつだ」

(……おかしい)

犬飼みたいな“引っかかり”がない。

むしろ、ただの人間に見える。

「……もう行っていいですか」

「あ、うん」

蒼は軽く会釈して、そのまま去っていく。

叶は背中を見送ったまま、しばらく動かなかった。

「何を驚いてる」

優人が言う。

「目を合わせても、効かなかった」

「へー」

興味なさげな相槌。

「自分がそうだからって」

「人の真似で動いてるやつに、ああいうのは効かないだろ」

叶が振り向く。

「どういうこと?」

「見てりゃ分かる。動きはあるのに、中が空っぽだ」

「……あそこまで徹底してるのは珍しいけどな」

叶は少しだけ視線を落とした。

「そっか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ