レーゲル
「あー……どうしよっかなぁ。」
対策課の会議室で、灯が面倒そうに天井を見上げた。
春が資料から顔を上げる。
「どうしたんですか?」
「土地神。」
灯は即答した。
「あいつらぶっちゃけ雑魚じゃん。」
春は反射的に突っ込みそうになったが飲み込んだ。
「まぁ……突っ込まないでおきます。」
灯は満足そうに頷く。
「でもさー。雑魚の中でもレーゲルって呼ばれてる奴らが面倒なんだよね。」
「あぁ……。」
春も納得したように頷いた。
「ヴルカーンと同種ですね。」
「ヴルカーンほどではありませんけど。」
灯は指を立てる。
「レーゲルの定義は強さじゃない。」
「ルールの押し付け。」
「ですね。」
春は資料を捲る。
「ヴルカーンなら灼熱。」
「他にも重力や飢餓みたいな理不尽なルールを押し付ける個体も居ます。」
「押し付けるルール次第で討伐難易度が大きく変わるんですよね。」
しばらく考え込んでいた灯が突然立ち上がった。
「よし!」
嫌な予感がした。
「解決策を思いついた!」
春は即座に答える。
「俺が作戦を立てる以外でお願いします。」
沈黙。
灯の笑顔が固まる。
「……。」
春は確信した。
やっぱりそうだった。
灯はゆっくり椅子に座り直す。
「なんで分かったの?」
「長い付き合いですから。」
春は疲れたように溜息を吐いた。
「灯さんが『思いついた』って言った時点で嫌な予感しかしません。」
「酷くない?」
「過去の実績です。」
灯は不満そうに頬を膨らませた。
「今回は良い作戦だったのに。」
春は聞かなかった。
聞いたら負けだと思った。




