お前道徳教えんな!
「お疲れー。」
授業が終わると灯が声を掛けた。
春は机に突っ伏す。
「疲れました……。」
魂が抜けたような声だった。
犬飼はそんな春を見ながら楽しそうに笑う。
「頑張った方だろ。」
「いやー。」
「無明の道徳面白いな。」
「斬り刻みます。」
犬飼は無明の真似をする。
灯も肩を震わせていた。
「凄く良い。」
「何も良くないですよ。」
春は即座に否定した。
灯は笑いながら続ける。
「いや、春が道徳教えてるのも面白いし。」
春は嫌な予感がした。
「そりゃ慣れませんからね。」
「今までそういう経験無いですし。」
灯が堪えきれず吹き出した。
「ぶっ……!」
「そうそう。」
「死体から武器とライセンスを回収して、その日暮らししてた人間が。」
肩を震わせながら続ける。
「道徳を教える。」
犬飼が耐え切れなかった。
「ははははは!」
「マジかよ!」
春は慌てて立ち上がる。
「いやいやいや!」
「待って下さいよ!」
犬飼はニヤニヤしている。
「今は改心しましたとか言うなよ?」
「違います!」
春は必死に反論する。
「ちゃんと死体は工場に届けてましたし!」
一瞬沈黙が流れた。
灯と犬飼は顔を見合わせる。
そして同時に吹き出した。
「ははははは!」
「そこじゃねぇ!」
春はさらに続ける。
「武器とライセンスだって落ちてたんです!」
「落とし物を使っただけです!」
完全に言い訳だった。
灯は机を叩く。
「駄目だ!」
犬飼は腹を抱える。
「お前道徳教えんな!」
春は頭を抱えた。
「なんで僕が怒られるんですか……。」




