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ゲームはほどほどに

「はい、勝ったー。」

叶が満面の笑みでコントローラーを掲げる。

犬飼はソファへ沈み込んだ。

「良かったな。もう寝ていいか?」

「もっとやろうよ。」

叶は即答だった。

「二十二時間やってんだから十分だろ。」

犬飼は本気で辛そうな顔をする。

だが叶は不思議そうに首を傾げた。

「私はまだ出来るし。」

「あー……脳波飛ばす為に脳が強化されてるんだっけ。」

犬飼は思い出したように言う。

「能力の副次的な最適化――思考継続。」

「そうそう。」

叶は嬉しそうに頷いた。

「だからもっとやろっか。」

「俺は普通の人間なんだが。」

犬飼は疲れ切った声で返す。

叶は呆れたように肩を竦めた。

「普通の人間は仕事サボって家でゲームしないんだけど。」

「ヴァイスハイトが咲いた場所で戦ったからな。」

犬飼は真顔だった。

「毒が回ってるかもしれない。」

「検査したけど健康だったんでしょ? 皆。」

「ヴァイスハイトの毒は検出不能だからな。」

犬飼は妙に自信満々に言う。

「死因不明の謎の死は大体ヴァイスハイトの毒が原因って言われてる。」

「へぇ。」

叶は感心したように頷く。

そして数秒後。

「あー……朝からサボる口実探す為に必死に調べた知識?」

「まさかぁ。」

犬飼はわざとらしく視線を逸らした。

「白雪さんと一ノ瀬君はちゃんと仕事行ってるんだけど。」

「無明も仕事してないじゃん。」

「無明君は運用不能扱いだから仕方ないでしょ。」

その時だった。

チャイムが鳴る。

叶が首を傾げた。

「誰だろ?」

立ち上がり、玄関へ向かう。

扉を開く。

「無明君!?」

そこには無明が立っていた。

「こんにちはー。」

いつも通りの声だった。

叶は目を瞬かせる。

「えっと……何の用?」

「遊びに来ました。」

当然のような返答だった。

「ん? どうして?」

「味方の家に遊びに行くのは普通らしいです。」

無明は真面目な顔で答える。

叶は嫌な予感がした。

「誰に教わったの?」

「テレビで流れてました!」

誇らしげだった。

叶は一瞬だけ天井を見上げる。

「あ……うん。」

諦めたように扉を開く。

「入っていいよ。」

「お邪魔します。」

無明は嬉しそうに家へ入っていった。

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