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神殺し

「ふーん……思ったより強いじゃん。」

神は笑う。

犬飼と灯が同時に距離を詰めた。

神由来の攻撃は犬飼が防ぐ。

危うくなれば無明の後ろへ下がる。

実際、有効な戦術だった。

斬り刻まれても問題は無い。

だが、その度に僅かとはいえ動きが止まる。

神の能力は超再生ではない。

ギフト――変質。

毒のようにあらゆるものを変質させる能力。

その結果として、強靭な肉体と超再生を手にしているに過ぎない。

神は目を細めた。

白雪灯の動きがおかしい。

肉弾戦を仕掛けているにも関わらず、冷気や氷柱による攻撃が異常な精度で飛んでくる。

視線を遠方へ向ける。

一ノ瀬春。

あの男が白雪灯の莫大な出力を代わりに制御していた。

「猿真似もここまで来ると面白いね。」

実際、厄介だった。

冷気によって細胞が凍り付けば再生速度が落ちる。

だが。

神は余裕を崩さない。

「この程度で私の命に届くと本気で思っているのかな?」

事実だった。

再生が遅れようと、命までは届かない。

神は笑う。

「褒めてあげるよ。」

「完璧な連携だ。」

「誰一人欠けても成立しない。」

その声に嘲笑が混じる。

「一人殺せば終わる小細工だけどね。」

神は標的を一ノ瀬春へ定めた。

最も殺しやすい人間。

最も厄介な人間。

無明の後ろに居るため、その度に体が細切れになる。

それでも止まらない。

春を殺せば勝てる。

そう思っていた。

「詰まらなかったね。」

その時だった。

視界が揺れる。

目眩。

足元がふらつく。

神は眉を顰めた。

下を見る。

吐瀉物が地面を汚していた。

理解出来ない。

「……なんだ?」

春が静かに告げる。

「勝ちました。」

灯が周囲を見回した。

「私も途中で気付いたんだけどさ。」

「この土地って何も生えてないよね。」

不思議そうに首を傾げる。

「本当にヴァイスハイトが生えていたのかな?」

春は頷いた。

「アナフィラキシーショックです。」

「起こるかは分かりませんでしたが。」

淡々と説明を続ける。

「超再生を見た時に確信しました。」

「代謝が異常に活性化している。」

神の表情が僅かに変わる。

「変質による再生能力が高いという事は、逆に言えば代謝も異常に高いという事です。」

「だからヴァイスハイトに汚染された土地で戦うだけで条件を満たせる。」

神の顔が歪んだ。

「この……恩知らずが!」

春へ向かって踏み込む。

だが。

その射線上には無明が居た。

銀閃。

神の体が再び細切れになる。

再生を続ければ毒が回る。

再生を止めれば死ぬ。

既に詰んでいた。

それでも神は再生を選ぶ。

肉が蠢く。

骨が繋がる。

皮膚が再生する。

その度に体は変色していく。

やがて。

神は力なく地面へ崩れ落ちた。

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