聖戦
「ここが聖戦の場所か……。」
降り立った神は周囲を見渡した。
雑草すら生えない枯れた土地。
風が吹く度に砂が舞い上がる。
神はつまらなそうに鼻を鳴らした。
「随分としけた場所だね。」
その視線が四人へ向けられる。
「本気で勝てると思っているのかな?」
「無知は怖い。」
「君達は私の恐ろしさを知らない。」
犬飼が肩を竦めた。
「偽名くらいしか知らねぇわ、神谷天。」
わざとらしく首を傾げる。
「それともパパって呼んだ方が良いか?」
神の目が細くなった。
「気まぐれで付き合って捨てた女の子供が、随分な口の利き方をするな。」
犬飼は鼻で笑う。
「一年で新しい男見つけて再婚したけどな。」
一歩も引かない。
神を前にしてなお、怯む様子は無かった。
次の瞬間。
神の姿が消える。
十メートル以上離れていた距離が一瞬で消失した。
犬飼は即座に反応する。
だが、本来ならこの時点で死んでいた。
無明が居なければ。
銀閃が走る。
神の体が細切れになった。
「脅かさないで下さいよ。」
無明は心底迷惑そうに言う。
「咲様が怖がってます。」
肉片が地面へ散らばる。
だが。
肉が蠢く。
骨が繋がる。
皮膚が再生する。
数秒後には何事も無かったかのように神が立っていた。
「まさか本当に斬り刻むとはね。」
灯が引きつった顔をする。
無明が斬った事に驚いた訳ではない。
斬られた神が平然と立ち上がった事に驚いていた。
神は首を鳴らす。
「なるほど。」
「少しは楽しめそうだ。」
その時だった。
黙って神を見ていた春が口を開く。
「嬉しい誤算です。」




