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二人

「おはようございます、咲様」

目を覚ました無明が、穏やかな声で挨拶をする。

「今日は何をしますか?」

しばらく何かへ耳を傾けた後、無明が少し困ったように笑った。

「ん? 外でデートですか? 外は敵だらけですよ?」

だがすぐに納得したように頷く。

「まぁ、咲様は僕が守るので大丈夫ですか。行きましょう」

外へ出た無明は、隣を歩く存在へ自然に話しかけ続ける。

「咲様、楽しいですか?」

そして返答を聞いたように、嬉しそうに表情を緩めた。

「えへへ、咲様が楽しいなら僕も楽しいです」

その時だった。

無明の視線が遠くへ向く。

「ん? カタスト……一般人を襲おうとしてますね。こちらに敵意は無いようですし無視して良いですね。」

直後、無明の顔色が変わった。

「え! ちょ、咲様!?」

次の瞬間、カタストの身体に無数の亀裂が走る。

肉体は立方体状に分断され、肉塊となって地面へ崩れ落ちた。

無明はそれに一切目を向けず、呆れたようにため息を吐く。

「咲様ー、優しいのは良いのですが一般人を守る為にカタストへ飛び込むのは辞めて下さい」

だがその声に怒気は無い。

むしろ少し嬉しそうですらあった。

「まぁ、そんな咲様が僕は好きですけど。」

しばらく歩いた後、無明は満足したように小さく笑う。

「もう帰りますか」

帰宅した無明は、ソファへ座ると自然な動作で両腕を広げた。

「咲様、ギューしてください」

数秒後、安心したように目を細める。

「えへへ、温かいです」

無明は目を閉じたまま、小さく呟いた。

「心音も安心します」

そして甘えるように擦り寄る。

「匂いも大好きです」

ふと何かを思い出したように無明が口を開く。

「ん? 昨日来た人達と友達になるのかですか?」

その問いへ返された言葉を聞き、無明は興味無さそうに首を横へ振った。

「興味は無いですね」

少しだけ視線を落とす。

「だっていつ見捨てるか分からないじゃないですか。明日は? 一ヶ月後は? 三ヶ月後は? 考えたらきりがないです。」

だがすぐに、安心したように笑った。

「ま、友達なんて居なくても咲様が居れば幸せですよ」

無明は隣へ寄り掛かる。

「咲様が居ない人生なんて考えられません。」

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