どういう関係?
「白雪さんって、一ノ瀬君と結局どういう関係なんですか?」
叶がじっと灯を見る。
灯は飲み物を口に運びながら、不思議そうに首を傾げた。
「ん? 普通だよ?」
「同棲が普通ですか?」
「駄目なの?」
灯は本気で分かっていない顔をしている。
叶は軽く頭を抱えた。
「いや……聞き方変えます。一ノ瀬君の事、どう思ってるんですか?」
「え? 友達。」
灯は即答した。
「いや、えっと……。」
叶は言葉を探す。
「一ノ瀬君、一人暮らし用の部屋探してましたよね? 契約までしたのに、結局そのまま一緒に住んでるの正直不思議で。」
「あー。」
灯は納得したように頷く。
「普通に意味無くない? って言ったら納得してくれた。」
「いや、契約までしたのにそれだけで……?」
「実際、意味無いじゃん。」
灯は当然のように言った。
叶は若干引き気味に聞く。
「……引き留めたんですか?」
「引き留めてないよ?」
灯は首を横に振る。
「理由聞いて、“意味無い”って言っただけ。」
「あー……。」
叶は何とも言えない顔になる。
「じゃあ、もうちょっと聞き方変えます。」
「うん。」
「一ノ瀬君に、どういう感情抱いてるんですか?」
「普通だと思うけど。」
「例えば犬飼とは住みませんよね?」
灯は真顔になった。
「あの社会不適合者と逆に住める?」
「まぁ……確かに。」
叶が苦笑する。
灯は満足そうに頷いた。
「でしょ。」
「じゃあ、一ノ瀬君の好きな所ってあります?」
灯は少し考え、
「偶に撫でると喜ぶ所。」
と自然に答えた。
叶がじっと灯を見る。
「……薄々思ってたんですけど、白雪さん、一ノ瀬君の事ペットみたいに見てません?」
「そうかな?」
灯は本気で分かっていない顔をした。
叶は呆れ混じりに続ける。
「この前とか、“手繋いで帰るか”って話で、一ノ瀬君言い負かしてたじゃないですか。」
「あー。」
灯は思い出したように頷く。
「自分の意見言っただけだよ?」
「いや、何言ったか覚えてます?」
叶は若干ジト目になる。
「“手繋ぐのも駄目なら、撫でるのも駄目かぁ……”ですよ?」
「言ったね。」
灯は悪びれもなく肯定した。
「いや、それで結局手繋ぐ一ノ瀬君も大概なんですけど。」
叶はため息を吐く。
「しかも、“手を繋がない理由も逆に無いですしね”とか理屈こね始めましたし。」
灯が少し笑う。
「素直じゃないとこ可愛いよね。」
叶は数秒沈黙した。
そして真顔で聞く。
「……もう一回聞きますけど、どういう関係なんですか?」
灯は不思議そうに瞬きをした。
「友達だよ?」
叶は遠い目をした。
「……犬飼がマトモに見えてきたかも。」




