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ヴルカーン討伐

巨大なヴルカーンの身体へ、犬飼が拳を突き刺す。

「ゴッテス・メルダー」

「白雪!!」

「了解」

灯は即座に巨大な氷柱を生成し、ヴルカーンへ叩き込む。

本来なら決定打にはならない。

だが、犬飼が接触している事でヴルカーンの硬度は著しく低下していた。

氷柱が深々と突き刺さり、ヴルカーンが苦悶の咆哮を上げる。

灯は感心したように目を細めた。

「珍しくカッコよく決まったじゃん、犬飼」

「だろー」

犬飼が得意げに笑う。

だが灯は、呆れたように肩を竦めた。

「必殺技言う流れ、もう五回目だけど」

「良いだろ別に」

「恨むなら朝寝坊した自分を恨みな。マジで連れてきたの後悔したんだから」

灯の容赦ない言葉に、犬飼は露骨に顔をしかめる。

すると春が困ったように小さく口を開いた。

「睡眠は大事ですから……」

微妙にズレたフォローだった。

犬飼は咳払いし、強引に話題を戻す。

「問題はこいつのタフさだ。ここまで攻撃して倒れねぇの、異常過ぎる」

「後は、あれだね」

灯がヴルカーンへ視線を向ける。

次の瞬間。

ヴルカーンが大きく口を開き、大量の空気を吸い込んだ。

肺の内部で超高熱へ圧縮された空気が急膨張し、噴出口から岩弾となって撃ち出される。

灯は即座に氷壁を展開した。

轟音。

無数の岩弾が氷壁へ叩き付けられる。

犬飼は嫌そうに顔を歪めた。

「一応言っとくけど、あれ実物の岩だからな? 直撃したら普通に死ぬぞ」

「オッケー。犬飼は勇敢に死んだって叶さんに伝えとくよ」

「守れや!!」

灯は楽しそうに笑う。

その横で春は冷静にヴルカーンを見つめていた。

「もう少しダメージを与えておきたいですね」

戦いは長引いていく。

ヴルカーンの身体は既にボロボロだった。

だが、それでも倒れない。

ヴルカーンは犬飼だけでも仕留めようとしたのか、大きく口を開く。

その瞬間。

「ここ!」

春が叫ぶ。

戦闘開始時から圧縮し続けていた冷気の塊を、ヴルカーンの口内へ撃ち込んだ。

本来なら、コピーした冷気は灯に遠く及ばない。

だが春は、範囲を極限まで局所化し、更に長時間の溜めによって威力不足を補っていた。

冷気が肺へ到達する。

ヴルカーンは即座に対応した。

肺の壊死を防ぐ為、更に大量の空気を吸い込み、体内温度を急激に上昇させる。

だが。

灯と春は同時に口を開いた。

「「解除」」

冷気が消える。

瞬間。

肺内部で超高温となっていた空気が一気に膨張し、制御を失った。

ヴルカーンの身体が軋む。

灯は静かに指を鳴らす。

「栓をしないとね」

氷柱がヴルカーンの口と噴出口を塞ぐ。

更に灯は、自分達との間へ巨大な氷壁を展開した。

「逃げるよ!!」

三人は即座にその場から飛び退く。

次の瞬間。

ヴルカーンが内側から大爆発した。

轟音。

衝撃。

氷壁すら粉砕し、灼熱と岩片が周囲へ吹き荒れる。

三人は紙一重で爆発を回避した。

少し離れた場所で、灯が深く息を吐く。

「勝ったね」

「はい」

春も安堵したように頷いた。

その横で犬飼だけが不満そうに顔をしかめる。

「だから自爆作戦嫌だったんだよ」

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